政治・経済

 日本が合流した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の妥結が、年明けにずれ込むとの見方が広がっている。先行参加11カ国は年内妥結を目指しているが、輸出入にかかる関税の撤廃・削減などで協議が難航しているためだ。経済産業省幹部は、「日本の参加が遅れの要因とされないよう気を引き締めていく」

 と前向きな姿勢をアピールするが、越年は日本にとって交渉余地が広がる朗報となることは間違いない。

「日本の集中討議は、出遅れを取り戻す補習授業のようなものだ。早く先行参加国に追い付かなくてはならない」

 7月25日まで開かれたマレーシアの交渉会合に参加した交渉官の1人は、最終日が「ジャパンデー」になった意味をこう説明した。

 会合ではTPP21分野のうち、関税撤廃・削減を扱う「市場アクセス」や知的財産権など各国の利害がぶつかる13分野の作業部会を開催。日本は米国の承認手続きがあったため、終盤3日間のみの参加に限られ、市場アクセスなど重要部会に間に合わなかった。

 だが、最終日は21分野を総括する首席交渉官会合で、日本の交渉団が質問の機会を与えられ、各国の交渉姿勢などを確認。交渉団は次回会合に向け準備を進めるが、参加国が掲げる年内妥結の目標実現には10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で大筋合意が不可欠だ。

 しかし、これまで約3年半の交渉で、議論が終わったのは「電気通信」など数分野にとどまり、多くの分野で課題を残している。このため交渉関係者は今会合から「大筋合意の時期を『遅くとも年内』と先送りする声もでてきた」とほくそ笑む。大筋合意が年末までずれ込めば、最終的な妥結は年明けが確実になる。

 後発組の日本にとって交渉期間が延びるほど、主張を反映する機会が広がる。ただ、米国のオバマ大統領は早期妥結に強い意欲を示すなど、「もし妥結が先送りされたとしても大幅な延長は望めない」(政府関係者)。日本が次回会合までにどこまで出遅れ挽回を図れるか。残された時間は少ない。

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