政治・経済

 全国郵便局長会(全特)が5月22日に福岡市で開いた総会で、大沢誠会長が顧問に退き、青木進副会長(越後上田郵便局長)を会長に選出した。大沢氏は6月下旬にも日本郵政グループの日本郵便専務執行役員に就任する予定で、従来、経営と一線を画していた全特から役員を派遣するのは初めて。

 強い政治力を持つ全特は従来、「郵政には2つの意志決定機関がある」と揶揄され、経営陣と意見がぶつかってきた。最近でも、ゆうちょ銀行への預入限度額引き上げなどを強く要求し、政治家に陳情して実現につなげてきた。日本郵政グループは上場を機に全特との関係改善にカジを切ったが、グループ内では日本郵政と全特の融和を喜ぶ向きがある一方、「新たな火種になりかねない」(日本郵政関係者)と心配する声も少なくない。

 なぜなら、日本郵便の社長には全特の“天敵”だった横山邦男・三井住友アセットマネジメント社長の就任が決まっているからだ。横山氏は三井住友銀行出身で、西川善文・元日本郵政社長の側近として2006〜09年にも日本郵政幹部を務め、「かんぽの宿」売却をめぐって当時の鳩山邦夫総務相や全特と対立した。性急な民営化推進にハンドルを切れば、慎重派の総務省出身幹部や大沢氏らとの対立が大きくなる可能性もある。

 大沢氏は当初、今夏の参院選比例区出馬を前提に、ハク付けのために「短期間の約束」(全特幹部)で全特会長に就任したが、自民党から女性の出馬を指示され、出馬を諦めた経緯がある。女性候補として元日本郵政職員の唐木徳子氏が立候補したが、体調を崩してやはり出馬を断念。時既に遅く大沢氏は宙に浮いた存在となった。

 大沢氏の日本郵便役員就任をめぐっては自民党議員が裏で動いたとの噂もある。しかし、大沢氏は年下のかつての“敵”の下で働くことになり、日本郵便の経営路線を巡り火花を散らすことは確実な情勢だ。

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