政治・経済

 政府の規制改革会議は5月19日、最大の焦点だった牛乳やバターの原料になる生乳の流通自由化を見送った。答申原案で示していた生乳の需給調整や集荷、販売を担う指定生乳生産者団体(指定団体)制度を「廃止」するとの文言も消えた。生乳の価格や安定供給を損なうとして酪農家の反対が強く、参院選での農業票離反を懸念する与党の考えも考慮し、秋までに「抜本的改革」を検討することにとどまった。

 この答申結果にしたり顔を見せたのは自民党の小泉進次郎農林部会長だ。5月18日に同党農林部会で、制度の廃止を取り下げた答申案をみて、「画期的な一歩ですね」と得意顔で記者団に語ったのだ。

 指定団体制度は、指定団体である農協に生乳を出荷しなければ、国からの補給金を受け取れない仕組み。この会議は同制度が、生産者の競争力強化を阻害するとして、3月末にまとめた提言では制度の廃止を要求していた。まさに生乳の流通自由化を目指すための抜本的な改革案が示されていた。

 ただ、指定団体は、通常は高価格で売れる飲用牛乳を優先的に作り、余ったときにバターに回すなど乳製品の生産調整機能も担う。そのため、自民党をはじめ農水省や酪農団体が、制度廃止で供給が不安定になり、中小酪農家が打撃を受けると反対を強めていた。

 結局、規制改革会議はこの陳情を受け、制度廃止の文言を取り下げたことで、議論は振り出しに戻った。

 こうした答申結果に、記者からは当然、「改革が後退したのではないか」との質問が投げ掛けられた。これに対し、小泉氏は「指定団体制度の是非、(補助金の)交付対象のあり方、そして抜本的改革(が答申で示された)。後退どころか前に進んだでしょ。1歩下がって3歩進むですね」と、分かるようで分からない表現で記者をけむに巻くのだった。

 ある農水省幹部が「具体案が何も決まっていないのに、3歩進んだというのは過剰表現」とあきれるのも無理もない。記者の間では「小泉さんは言い切り型の話し方のため何となく説得させられている気がするが、レコーダーで聞き直すと当たり前のことを言っていると気付く」とも……。

 最近は党の農水族議員や農業団体を気遣ってか、当初の思い切った言動がなりを潜める小泉氏。立っているだけで人をひきつけてきた“進次郎の神通力”にもいよいよ限界がみえたか?

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