政治・経済

 主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が5月20日から2日間、仙台市の秋保温泉で開かれた。翌日の新聞やテレビは、焦点だった財政出動で協調できなかったことを批判する論調が目立ったが、不思議なほど財務省内に落胆はない。むしろ懸案の為替政策をめぐり、米国をうまくやり過ごせたとの見方がもっぱらだ。

 会議後に記者会見した麻生太郎財務相は、同時に行った日米財務相会談について「ルー米財務長官との間に特に激論があったわけでもないし、日米の認識に大きな違いはない」と説明した。

 会談前には、市場関係者の間で、日米両政府が為替について激しい応酬を繰り広げ、相場が混乱するのではないかとの懸念が浮上していた。

 会談で、麻生氏は為替相場について「一方的な偏った動きが見られた」と指摘。一方、ルー氏は介入の前提である無秩序というには「ハードルが高い」と話した程度。市場が反応することはなかった。

 省内では早い段階から、G7が財政出動で協調を打ち出すのは難しいとの見方が支配的だった。安倍晋三総理が欧州歴訪で協調を呼びかけた経緯があるとはいえ、年明けからの金融市場の混乱は収束。各国の経済や財政の状況にもバラツキがある。

 関係者は「日本として景気浮揚のための財政出動を打ち出す代わりに、米国などに円安に目をつぶってもらうシナリオがあった」と打ち明ける。

 米大統領選での共和党のドナルド・トランプ氏の躍進もあって、オバマ民主党政権はかつてのように、通貨安で輸出を増やす日本やドイツを容認できなくなっている。為替で波風を立てないことこそが、財務省に課せられたミッションだったといえる。

 景気回復に向け、成長戦略や規制改革で成果が出ない日本は政府・日銀の“円安誘導”に頼らざるをえないのが実情だ。今回の会議はやり過ごしたとはいえ、財務省は頭の痛い日々が続く。

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