文化・ライフ

今回はLUFTホールディングス社長の南原竜樹さんをゲストにお迎えしました。多くの方がご存じのとおり、売上高100億円から一気に破綻寸前まで追い込まれながらも、這い上がった波乱万丈の経験を持つ経営者です。そんな南原さんの人物像と考え方に迫ります。

成功に必要な情報とタイミング

佐藤 南原さんは、ジェットコースターのように浮き沈みの激しい人生を歩まれた経験が、ある意味勲章みたいになっていますね。

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(なんばら・たつき)1960年岡山生まれ、愛知育ち。大学在学中に高級外車の並行輸入で起業し、88年オートトレーディングルフトジャパンを設立。人気テレビ番組「マネーの虎」への出演などで知名度を上げる。2005年に英国MGローバー社の経営破綻の影響を受け、全従業員の解雇という事態に見舞われるも、会社を再生し、現在は飲食店経営、自動車の個人売買、医療派遣、レンタカー、出版事業など多方面で展開。15年LUFTホールディングスに社名変更。

南原 勲章ではないですが「そういう人生のほうが楽しいよ」と周囲には話していますね。

佐藤 事業を始めたのは学生時代だそうですが、昔は起業のハードルも高かったのでは。

南原 今は名刺に携帯番号とメールアドレスを書けば済みますからね。当時は留守番電話を外出先から聞くこともできなかったし、起業する時は事業所を借りて事務員を雇わないといけなかった時代。僕も最初は、知り合いの修理工場の一角を借りて事務所として使っていました。電話契約に30万円の保証金と30万円の権利金、それと自動車電話も使っていたのでその工事費が30万円掛かりました。それに比べると、いかに今は起業しやすいことか。親からは「いつまでもプー太郎しているんじゃない」と言われていましたが、25歳の時に1カ月の稼ぎが3千万円くらいありました。

佐藤 周囲からは随分やっかまれたのではないですか(笑)。

南原 友達は誰もいなくなりましたね(笑)。居酒屋に行って、金がない友達に奢ってあげると喜ばれたんですが、それが何回も続いて「南原、今日もゴチな」と言われた時に、ちょっと違うよなと。それでみんなと飲みに行くのを止めてしまいました。

佐藤 今は幅広く事業を展開していますが、儲かる事業を見つけ出す秘訣は。

南原 タイミングが重要です。自動車の並行輸入を始めた当時はベンツやBMWがバンバン売れていて、そういうときにドンと仕入れて販売するルートを開拓したから成功しました。肉体改造のパーソナルトレーニングジムも、広まったのはタイミング良く始めたから。今、全国に同様のジムが200から300あると言われていますが、ある人によれば、その95%は僕のジムがルーツだということです。結局、時流をどうつかまえて、世の中に出していくかなんです。

20160621SANSAN_P02佐藤 その嗅覚はすごいですね。

南原 大事なのは情報と知識。例えば成功した例では、1995年にメキシコでペソが大暴落した時に、古いフォルクスワーゲンビートルを4千台ほど輸入しました。北米自由貿易協定(NAFTA)が結ばれたので、ペソが値下がりするチャンスを虎視眈々と狙っていたら、一気に暴落しました。中古で100万円ほどだったビートルが半値くらいになったんです。それを大量に購入して、日本に輸入して売ったら爆発的に売れた。そういうことを常に考えていると、一般の人が他人事と考えるニュースも、ビジネスチャンスとして生かせます。

一度落ちてからの再生はゼロから起業より難しい

佐藤 輸入車の事業が破綻した時の状況はいかがでしたか。

南原 ご存じのように、仕入れ先のローバーが破綻して、またゼロになりました。ゼロから起業するより、事業を拡大してからゼロになるほうが復活は難しいんです。起業する場合は信用保証協会などからお金を借りやすいのですが、うちはローバーの破綻で特損を20億円くらい出していたので、そういう会社にお金を貸してくれるところはありません。ローバーが潰れても、バランスシート上はプラス45億円くらいありました。でも入ってくるお金がなくなったので、売り上げをすべて返済に回さなければいけなくなったのです。毎月1億円ずつくらいキャッシュアウトしていく状態で、不動産を含めた全部の資産を売るしかなくなりました。05年春にローバーが潰れて、それから従業員を全員解雇して、その年の12月には誰もいないオフィスを1人で掃除していましたね。

佐藤 そういう厳しい状況から復活されたことは、多くの経営者の励みになりますね。

(次号、後編に続く)

似顔絵=佐藤有美 写真=佐藤元樹

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商売に勝つ方法とは--南原竜樹(LUFTホールディングス社長)(後編)

[波瀾万丈・企業家物語]ゼロからの“やり直し”でスピード再生--南原竜樹(LUFTホールディングス社長)

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