政治・経済

 農林水産省が5月19日発表した離農者などの農地を集めて意欲ある担い手に貸し付ける「農地中間管理機構」(農地バンク)の2015年度実績は、目標の6割にとどまった。初年度となった14年度(約2割)に比べ大幅増となったが、日本農業新聞のアンケートで農地の出し手の約6割がバンクの存在を認識していないと回答するなど、いまだ周知不足が際立つ。にもかかわらず、森山裕農水相は「実績には一定の評価はできる」と述べるなど、相変わらず楽観的なのだ。

 15年度にバンクが担い手農家に集積できた面積は、バンクを介さないケースを含め約8万ヘクタール。政府は23年度末までに、担い手の農地利用を約8割とする目標を打ち出している。そのためには10年間で140万ヘクタールの利用集積が必要で、単純計算で毎年14万ヘクタールの集積が必要だ。この目標値に照らし合わせると、15年度実績の目標達成率は約6割となる。

 ただ、忘れてはならないのが、14年度と15年度に達成できなかった分は今後の目標に加算されなければいけない点だ。この2年間の目標値の合計は約28万ヘクタールだが、実績は約10万ヘクタールで達成率はわずか約35%。目標に達しなかった分を加算した場足、残り8年間で約130万ヘクタールの集積が必要となる。そうなると、16年度以降は少なくとも毎年約16万3千ヘクタールを集積しなければならないのだ。

 だが農水省はこのことには触れず、今後、各都道府県の集積実績に応じた予算配分や耕作放棄地の固定資産税の引き上げ、バンクに貸し出した際の優遇税制などの対策を強調するだけ。日本農業新聞のアンケート結果が示すように、バンクの活動開始から1年以上経過してもいまだ周知不足が課題と指摘される現状に、現場から不安の声は大きくなる一方だ。

 振り返れば14年度の散々な実績を発表した際も、当時の林芳正農水相は「一定の成績を残すことができた」と手応えを強調していた。多大な予算を活用した結果、農業従事者の激減と耕作放棄地の拡大を招いた日本の農政。農水省から危機意識を感じないのは気のせいだろうか。

 

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