政治・経済

 政府が熊本地震対策として2016年度補正予算で計上した7千億円の予備費のうち、251億円が配分された国土交通省は、九州の観光復興に向けた支援プログラムとして、旅行プランの割引費用を助成する制度に180億円を充てた。夏の観光シーズンを前に、地震でキャンセルが相次ぐ観光客数の回復が喫緊の課題になっているためだ。

 具体的な仕組みは、まず国が九州7県に交付金を出して、県からプロモーションを委託された旅行会社が割引ツアーを企画。割引費用は県から支払われる。割引率は地域と時期で異なるが、熊本、大分両県は7~9月が平均50%、目玉にしたい旅行商品は最大70%引きを設定することが可能。10~12月が平均25%だ。福岡、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の各県は平均で7~9月が20%、10~12月が10%。

 災害復興策に旅行割引を導入するのは異例だが、緊急を要する事情がある。

 観光庁によると、九州における地震後の宿泊キャンセルは約75万人に上る。九州では複数県にまたがる周遊旅行が観光の中心で、熊本、由布院を含む大分の両県は「周遊旅行に必ず組み込まれるポイント」(田村明比古・観光庁長官)となっているため、熊本地震による被害が熊本や大分の両県のみならず、九州全体の観光に影響している。

 九州観光の落ち込みは、訪日外国人旅行者数の目標を20年で4千万人とする政府にとっても大きな打撃だ。九州は温泉や食、自然と観光資源が豊富で、地域連携も進む「他地域のお手本となるエリア」(政府関係者)。だが地震で〝お得意様〟の韓国からも訪日客数で3割強の影響が出ており、今後は日本政府観光局を中心に、海外メディアを対象とした訪日プロモーションにも乗り出す。

 旅行割引では、計150万人の需要創出を目指す。菅義偉官房長官も記者会見で「夏の観光シーズンに向け、スピード感を持って対応する」と述べた。

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