マネジメント

燃費データの改ざんで窮地に陥った三菱自動車を救った日産自動車。三菱自動車が日産の傘下に入ることで、グループ下に横浜Fマリノスと浦和レッズの2つのクラブが存在することになるのだ。Jリーグ屈指の人気チーム、浦和レッズは果たしてどうなるのか。文=本誌/古賀寛明

 

三菱自の日産傘下入りが浦和レッズに与える影響

 

クロスオーナーシップ規定に抵触か?

 三菱自動車は燃費データ改ざんの問題から自主再建を断念。10月の第三者割当増資で日産自動車が三菱自動車株の34%を取得し、今後は日産自動車の傘の下で出直すこととなった。三菱自動車は今期の業績予想も1450億円の赤字へと転落する見通しを発表しており、まだまだ険しい道のりが続く。

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両首脳の握手の裏で揺れる浦和レッズ

 さて、そのあおりを受けたのが、現在三菱自動車が50.625%の株を保有するJリーグの浦和レッズだ。日産自動車が同じJリーグのライバルクラブである横浜Fマリノスの株を74.59%保有しているということで、今後、「合併され青いユニフォームへと変わるのではないか」、はたまた「別の資本関係が生まれ、違うチームへとなってしまうのではないか」といった、ファンやサポーターの不安がネットを中心に渦巻いた。

 Jリーグの規定では、「ある特定の個人または企業が株主として複数のクラブの株式を直接間接問わず保有する場合、その結果当該複数のクラブが『子会社』や『関連会社』に該当してはならない」といういわゆるクロスオーナーシップの禁止事項がある。

 つまりマリノスが日産自動車の子会社ということで、今後、三菱自動車が日産自動車の傘下に入ることになった場合、浦和レッズが、このクロスオーナーシップの禁止事項に触れる恐れがあるというのだ。

三菱グループと浦和レッズの密接な関係

 ただ、浦和レッズはJリーグでも断トツの人気を誇り、15年の営業収入は約61億円とリーグナンバーワンである。入場料収入も約22億円と、2位のマリノスに2倍以上の差を付ける。そんな人気クラブなだけに、三菱自動車の支援がなくなったところで存続が危ぶまれることはないのだが、浦和レッズのクラブカラーである赤は前身の三菱サッカー部の時代から受け継がれてきた。

 そして正式名称の浦和レッドダイヤモンズのダイヤモンドも三菱のロゴに由来していることから、サポーターも三菱グループとの別れを望んではいない。

 三菱商事のある社員は、「諸橋が生きていれば、すぐに手を挙げたでしょうね」と、伝説のサッカー番組「ダイヤモンドサッカー」の生みの親である故・諸橋晋六(三菱商事元社長・会長)氏の名を挙げ、レッズとのつながりを強調するもののグループ内に表立った動きはない。

 それもそのはず、親会社である三菱と日産の資本提携も結実していない段階では、三菱の各社も管轄するJリーグとしても動きようがないのだ。

 さらに、クロスオーナーシップに該当する「子会社」、「関連会社」の定義についても、議決権比率だけで決まるものではなく、実質的な関係性まで含まれるため、単純に何%を超えればNGなどと決められるものではない。Jリーグとしても判断しかねる状況だ。

 

浦和レッズの根幹は揺らぐのか?

 

三菱グループによるレッズ株引き取りの可能性

 レッズの株主名簿には三菱自動車以外に、三菱重工、商事、電機、東京海上火災など、主だった三菱企業が名を連ね、それぞれ40株ずつ株式を保有している。もし三菱自動車の保有する50.625%の浦和レッズ株を各社で分担したとしても、総額で8100万円程度にすぎず、どの企業にとっても大した金額ではない。それだけに、グループで引き取ることになると考えるのが妥当なところではないだろうか。

 また、もうひとつの可能性としては、ファンやサポーターに株式を販売するソシオ制度の導入も考えられる。

 ソシオ制度は、会員がお金を出してクラブを支える制度で、スペインのFCバルセロナは18万人近くの会員で支えている。株主と言っても現金などの配当はなく、利益よりもむしろクラブや地域への貢献、名誉といった意味合いが強い。

 地域と歩むJリーグの理念にも合致しており、また、クラブ愛の強いサポーターも多い浦和レッズであれば、導入の可能性は低くない。いずれにせよ浦和レッズの根幹を揺るがす大変革が起こることはなさそうだ。

海外マネーの気配はゼロ

 ただ、ひとつ残念なのは日本を代表するサッカークラブのひとつでありながら海外マネーの気配がしなかったところだ。

 世界を見れば、イングランドのプレミアリーグやイタリア・セリエAなどに中国や中東からの海外資本が入り込んでいる。

 今年、プレミアリーグで奇跡の優勝といわれた岡崎慎司選手の所属するレスターシティもタイの免税店グループのオーナーが保有している。Jリーグにも外資規制があるわけではない。

 マリノスにはマンチェスターシティの事業会社が20%弱出資している。だが、「残念ながら、投資の観点でいえば日本のマーケットよりも市場規模や人気といった点から中国へ目が向けられているのが現状です」(リーグ関係者)と、世界の眼はアジアでは中国に向いているようだ。

 現状、中国サッカー界もバブルの様相を呈している。とはいえ、Jリーグのクラブがアジアで勝てなくなる一方、中国のクラブがアジアチャンピオンズリーグを制するなど、力をつけているのも事実。浦和レッズは世界で勝てるクラブを目指している。

 クラブの根幹さえ揺らがないのであれば、サポーターは、世界で勝つ気のある株主を求めているのではないだろうか。

三菱、スズキはなぜ躓いた

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