政治・経済

2027年の東京―名古屋開業を目指すリニア中央新幹線について、石井啓一国土交通相は6月上旬の記者会見で、計画で45年となっていた大阪への延伸時期を前倒しする方針を明らかにした。財政投融資の活用でJR東海の財政リスクを低減、高速交通網の整備を加速させる考えだ。

 従来計画では、リニア中央新幹線の建設はJR東海の自己資金で賄われ、名古屋開業後は同社の経営体力回復のため、大阪延伸工事の着工まで8年程度の「空白期間」を設定している。延伸前倒しは、資金面の手当てがつけば「空白期間」の短縮が可能になるとの理屈で、最大8年間が短縮される計算になる。

 資金繰りの手段として浮上しているのが、民間で困難なインフラ整備などに融資する財政投融資の活用。政府系金融機関を通じて、JR東海に融資する案が浮上しており、JR東海は長期固定で低金利の資金調達が可能になる。

 融資額は3兆円規模になるとみられる。政府の「経済財政運営に関する基本方針(骨太方針)」にも方針が盛り込まれ、今後は具体的な枠組みを政府とJR東海で検討する。債務負担が軽減されるJR東海の柘植康英社長も5月下旬の会見で「支援はありがたい」と前向きに話す。

 延伸前倒しの背景には、リニアを成長戦略の目玉にしたい政府の思惑も絡む。

 政府は20年までのGDP600兆円を目標に掲げるが、景気は足踏みを続けている。財政出動による景気刺激を打ち出したい政府・与党が、財政健全化との兼ね合いも考慮してひねり出したのがリニア前倒し。参院選も間近に控え、関西圏の集票も期待できるとあって与党幹部が非公式に協議を重ねてきた。

 リニア延伸前倒しは高い経済効果が見込まれる一方で、財政投融資の活用によって国が金利上昇リスクを背負い込む側面もある。特定事業への支援は民間投資の意欲を削ぐ結果にもなりかねず、政府は与党の特別委員会とも連携し、慎重に制度案を詰めることになりそうだ。

リニア誘致で問われる関西財界のリーダーシップ

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