政治・経済

官邸に弓を引いた――。三菱東京UFJ銀行が国債入札に特別な条件で参加できる資格を国に返上する方針を固め、そんな見方が霞が関で広まった。日銀のマイナス金利政策で国債保有を続ければ損失を被るとの思惑があるが、日銀や消費増税を延期した政権への批判ととらえられかねないからだ。一部では「財務省陰謀論」まで囁かれ始めた。

 三菱UFJが返上するのは国債市場特別参加者の資格。プライマリー・ディーラーと呼ばれ、メガバンクや証券大手などが名を連ねる。国債発行で財務省と意見交換できるメリットがある一方、発行予定額の4%以上の応札が義務となる。

 しかし、マイナス金利政策の下では、国債を満期まで持ち続けると損失が生じる。近年の金融規制で、銀行は金利上昇で含み損を抱えかねない国債の大量保有に消極的になっていた側面もあり、返上を決めた。

 かつて銀行は国債の最大の買い手として、膨らむ国の借金を下支えしてきた。メガバンクが特別資格を返上すれば初めてのことになる。

 このところ、三菱UFJは日銀の金融政策に否定的な姿勢を強めていた。持ち株会社の平野信行社長は4月の講演でマイナス金利政策を公然と批判。「お公家様の三菱らしからぬ行動」と話題になった。

 今回の資格返上もその流れと見られるが、問題なのはタイミングだ。日本経済新聞の報道は6月8日で、安倍総理が消費増税延期を表明してまもない時期だった。

 増税延期にかかわらず、金利が低い状態で維持されているのは日銀が大量に国債を購入しているからにほかならない。その政策を真っ向から否定する行動は政権批判ととらえられかねない。関係者は「財務省側があえて漏らしたのではないか」と話す。想定通りかメディアは日銀の政策や政府の財政再建の遅れを批判する論調が相次いだ。

 増税延期では官邸に煮え湯をのまされたとされる財務省だが、一矢報いたということか。

マイナス金利の不評で日銀が「仕切り直し」

 

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