政治・経済

 金融庁が地方銀行による融資先企業への経営支援を評価する52項目の指標を今夏にも導入することになった。主力行として取引する企業のうち経営状態が改善した件数や担保をとらずに融資している件数などをベンチマークとして数値化し、金融庁と地銀の対話に役立てる。地銀の地域経済への貢献度合いを定量的に捉え、金融仲介機能の改善につなげていきたい考えだ。

 金融庁は「金融仲介の改善に向けた検討会議」で検討会の委員の意見を踏まえて指標を取りまとめ、新たな監督行政の柱として試験導入する。指標は、地銀が地域企業の経営改善をどの程度支援できているかを数値化し、金融庁が客観的なデータとして把握するためのものだ。

 主要項目となるのが、主力行として融資している企業のうち、利益率や生産性など経営が改善した取引先の数や、無担保で融資した件数などの5項目で、これらはすべての地銀に算出を求める。このほか、取引先の経営課題などの相談を受けるために接触した頻度や、M&Aの支援数、地域で創業した企業に関与した件数など47件については、地域の実情に応じて各地銀が複数指標を選び、報告する。

 金融庁の担当者は「数値そのものの改善を求めるわけではない」とし、指標はあくまで金融庁と地銀との対話のツールであることを強調する。

 指標導入の背景には、政府が成長戦略の柱に掲げる地方創生の実現には、地銀が地域活性化の主体的役割を果たすことがカギとなるが、実際は地銀の働きが不十分との危機感がある。

 地方の人口減少や金利低下を受け、金融庁は数年前から地銀に対し、担保評価よりも貸出先の将来性や事業内容を重視して融資を決める「事業性評価」の推進を求めてきた。実態把握のため、全国の財務局を通じ昨年10月以降、中小企業にヒアリングを実施した。

 751社への聞き取り調査では約3割の企業が「経営上の課題や悩みを全く相談したことがない」と回答。金融庁は地銀が地元企業のニーズの把握や積極的な支援を十分行えていないことを「思ったより深刻」(幹部)とみており、こうした結果を踏まえて指標の導入に至った。

 新たな指標が金融庁の思惑通りに地銀との多角的な議論を活性化させ、地域企業の経営課題の洗い出しや解決を支援する取り組みといった本来の金融仲介機能の発揮につながっていくのだろうか。

顧客軽視の地銀に金融庁が激怒

 

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