政治・経済

 英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まったことで、円相場は2年7カ月ぶりに1ドル=99円台をつけ、その後も高止まりしている。ただ、円売り・ドル買い介入を取り仕切る財務省は沈黙を貫いたままだ。夏季休暇中の8月は毎年円高になりやすいことで知られるが、「伝家の宝刀」を抜く気配はいっこうに見えない。

 財務省が発表した6月の為替介入実績は「0円」。英国の離脱決定を受け、6月24日、円相場は1ドル=99円を突破。その後すぐに101円台を回復したため、市場では政府による「覆面介入」が囁かれていたが、介入はなかったことが証明された。

 離脱決定以降、円は買われやすい地合いが続いている。日本は対外純資産が世界一で、円は「安全通貨」というのが海外投資家の共通理解。市場でリスクオフの傾向が強まればその動きは加速する。離脱交渉の長期化が見込まれることから、米国の9月利上げは遠のいた。12月まで先送りされるとの見方もあり、円高圧力は一層強まっている。

 政府の円高阻止策は介入しかないが、イングランド銀行がポンド急落にかかわらず、早い段階で「金融市場で必要な調整を阻止しない」と表明したことで、協調介入の可能性は遠のいた。

 6月27日には、ルー米財務長官がCNBCテレビのインタビューで「市場は整然と機能している」と説明。介入に「市場の無秩序な動きなどが必要だ」と否定的に語った。視線の先には中国やドイツがあるが、仮に日本が「為替操作国」と認定されれば、今後数年、円高が固定化されるリスクがある。財務省幹部は「そう簡単に介入はできない」と打ち明ける。

 麻生太郎財務相はこれまで口先介入を繰り返してきたが、一度介入に踏み切れば切り札を失ってしまう。英国の離脱決定や米国の利上げ延期で、どこまで円高が進むか分からなくなった今、財務省はジレンマに悩まされている。

円売り介入へ財務省の根回し続く

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