文化・ライフ

前回は撮影現場のエピソードやそこで出会った印象深い人々について語っていただいた織作さん。今回は写真を取り巻く日本と海外の環境の違い、その中でプロとして生きていく厳しさを中心に話を進めます。

プロとアマの差が曖昧な日本

佐藤 今やスマートフォンでもかなり良い写真が撮れるので、プロの写真家としてやっていくのはどんどん厳しくなる気がします。

20160802SANSAN_P01

(おりさく・みねこ)1960年、石川県生まれ。京都文教体育大学在学中の81年にミス・ユニバース日本代表に選出。82年より写真家の大竹省二氏に師事し、87年独立。写真家として活動する傍ら、テレビのコメンテーター、雑誌、講演等幅広いメディアで活躍。2006年大阪芸術大学写真学科教授に就任。

織作 大変な時代になってきましたね。そうでなくても、一般の人たちがこれだけ高級なカメラを持っているのは日本だけなんです。カメラメーカーさんにとっては喜ばしいことですが、プロとアマチュアの差をどうつけるかという点が非常に曖昧になっています。日本では、プロがアマチュアの方々に手厚く指導するカメラ教室などの場が数多くありますので、両者の技術的な差がなくなってきています。ですから、プロとして自分のテーマやコンセプトを持つことの大切さを痛感しています。

佐藤 大学教授として、学生さんとの交流からはどんな刺激を受けていますか。

織作 生徒たちもデジタル世代になってきて、だからこそアナログの銀塩写真をやりたいという子もいれば、静止画だけでなく動画など、今の時代に合う勉強をしたいという子もいます。双方の望みを叶えるような授業を実施しています。これから未来のある生徒たちには、自分のノウハウを惜しみなく出したいと思っていますし、就職までどうサポートできるかということも考えています。

佐藤 教鞭を取られて10年もたつと、かなりの生徒さんを送り出されたことと思います。若者たちが自分を超えていく姿を見るのは大きな喜びではないでしょうか。

織作 そうですね。鉄道会社や銀行に就職した生徒もいるので全員が写真の世界に行くとは限りませんが、卒業制作の審査で学長賞を受賞した生徒が、世界中から仕事のオファーが来る写真家になっている例もあります。写真は認められるまで時間がかかる世界ですが、そういう生徒がたくさん出てくれることを願っています。

写真は「買うもの」という認識を広げたい

佐藤 これからどんなことに取り組んでいかれますか。

織作 作品の発表の場である展覧会については、常に何かに取り組んでいきたいと思っています。2017年からは愛媛県立美術館、福井市立美術館など、地方の各県で展覧会を開く予定です。これまで海外でも展覧会を開いてきましたが、海外では写真は「買入するアート」という意識が浸透しています。日本では、写真はギャラリーに飾っているものを見に行って終わりという感覚ですが、これからは写真を買う文化が生まれるべきです。

 日本と違い、海外のギャラリーは作品の販売目的以外で趣味とするものは貸し出さないことが普通ですが、日本ではメーカーさんがそういう場を提供するというのも特殊です。海外では1点で1千万円から数億円の値が付く作品もあります。これからの写真家は、もっともっとプロとアマの意識の差を持つことが大切だと痛感します。それには作家としての誇りを持つことが大事かと思います。

佐藤 確かに、日本の若い企業家などで現代アートなどに投資する方はいますが、写真に関して同じことはあまり聞きませんね。

織作 写真は販売するものだと私は思っているので、展覧会では作品にきちんと値段を付けます。そうやって、仕事と趣味との違いを分かっていただくことで、日本でも芸術に対する理解がさらに深まってほしいと思っています。


対談を終えて

20160802SANSAN_P02誰もが手軽に写真を撮れる時代だからこそ、プロとして圧倒的な差を見せることが必要なのでしょう。気さくな人柄の中にも、織作さんの仕事に対する覚悟がひしひしと伝わってくる対談でした。

撮られる側から撮る側へ――織作峰子(前編)

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