国際

ヨーロッパへの玄関口を失うインド

 英国で行われた国民投票では、過半数の人々がEU離脱に投票し、世界に衝撃を与えた。世界中のマーケットが急落し、ポンドは30年ぶりの水準にまで落ち込んだ。

 英国のEU離脱という結果が発表されると同時に、世界の株式市場は急落。インドでは、株式市場SENSEX指数が1千ポイント下げ、レッドラインを600ポイント下回って週末を迎えた。またNIFTY指数も2・20%下げて終了した。ドル高ポンド安の影響で、ルピーも対ドルで価値を下げた。ポンドは、31年ぶりの低水準まで下落した。

 英国がEUを離脱することで、インドはヨーロッパへの玄関口を失うことになる。これにより、インドはEU内の他の国との結び付きを構築せざるを得なくなる。その主な理由の一つは、インドと英国には歴史的・文化的なつながりがあると同時に、英国がヨーロッパの他の国への玄関口であったためだ。英国に工場を設立するインド企業は、EUの自由市場制度の下で、EU内の他の国にも製品を販売することができていた。

 英国とインドとは、200年を超える歴史、強固な民主主義、連結した文化団体、そして英語を共有してきた。英国にはおよそ150万人のインド人が生活しており、国内最大の少数民族グループだ。

 英国は、インド国内における3番目に大きな外国直接投資国だ。またインドも米国、フランスに次いで英国における3番目に大きな外国直接投資国(プロジェクトの件数に関して)だ。インド企業が英国経済において果たす役割は、ますます増加している。インド企業タタ所有のジャガー・ランドローバー、アウトソーシングの巨大企業であるインフォシスなど多数のインド企業が英国で営業している。

 例えば、タタグループは、英国に最大の従業員を抱える企業のひとつであり、およそ6万5千人が雇用されている。しかも、英国で最も歴史が古く、最も影響力のある複合企業体のひとつである。そして、その影響力は、鉄鋼業や自動車産業から情報技術にまで多岐にわたり、19社の企業から構成されている。

英国のEU離脱で自動車産業に重大な影響

 英国内で組み立てられる自動車の75%以上が輸出されており、およそ50%はEU内の他の国への輸出であるため、英国のEU離脱は、英国国内の自動車産業に重大な影響を及ぼすと思われる。

 英国に拠点を置くタタ所有のジャガー社は、自由市場制度を利用してEU諸国に輸出を行っている。昨年英国で製造された160万台の自動車のうち3台に1台がジャガー社製であり、これまで製品ラインアップを大幅に拡大してきた。しかし、ジャガー社(タタグループ)は、英国のEU離脱により、計画の大幅な変更を余儀なくされるだろう。

 2014年時点で、在英国のインド企業は190億ポンド以上を生み出した。EUへのアクセスが制限されることによって、ロンドンに拠点を置くインド企業は関税が上昇する事態に直面し、製品の競争力は低下している。

 英国がEU離脱後についてどのように対処するかにかかわらず、今回の英国のEU離脱はグローバリゼーションに対する打撃と見なされ、その動きは米国の大統領選の結果によってさらに強まる可能性がある。今さまざまなメディアが一つの共通した意見に傾きつつある。それはことによると08年金融危機の再来となるかもしれない、ということだ。

 しかし、確かなこともある。(1)リスクが高まったこと、(2)国際的な成長の見通しが悪化したこと、(3)ヨーロッパの指導者たちが問題への対処が上手くいっていないこと、(4)主要国の中央銀行の政策金利は最低水準(中にはマイナス金利も存在する)にあり、主要国における中央銀行が実行可能な経済刺激策には限界があること、などだ。

 インドは、英国およびEUの両者との通商協定・通商条約の改定を期待するものの、それには、今後発生する輸出関税や被雇用者の移動の問題などを再検討する必要が出てくると思われる。

インド経済の爆発力を見逃すな

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