政治・経済

 米大統領選の両候補者が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に慎重姿勢を示したことについて、日本政府内には警戒論と楽観論が交錯している。米国内で反TPP論が高まり、大統領選後の「レームダック期間」の議会承認が見通せなくなったと懸念する声も聞かれる。一方で両候補とも現実主義者とされ、大統領に就任すれば軌道修正を図るともみられている。

 民主党が7月25日に示した大統領選の政策綱領では「TPPを含めてすべての貿易協定は、雇用創出や安全保障の改善などの基準を満たすべきだ」とし、支持母体の労働組合の意向を反映。同党の大統領候補に指名されたヒラリー・クリントン前国務長官はTPPの為替操作対策の脆弱性を指摘するなど、再交渉の可能性を示唆している。

 一方、7月18日に共和党が採択した政策綱領には、「レームダック議会で重要な通商協定を承認すべきでない」と明記。同党の大統領候補に指名されたドナルド・トランプ氏は7月21日の党大会で、TPPについては「署名しない」と断言し、反対姿勢を明確にした。

 ただ、官公庁の間では「大統領選での候補者の発言は、相当割り引いて考えなくてはいけない」(経産省幹部)との“楽観論”は少なくない。

 実際、2008年の民主党候補者指名争いでは、オバマ大統領とクリントン氏が北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを表明したが、就任後は再交渉論が鳴りを潜め、逆にTPP推進へと舵を切った。同様に1992年の米大統領選では、当初NAFTAに反対していたビル・クリントン氏が、当選後には推進派となりNAFTAを成立させている。

 共和党の大統領選に向けた政策綱領は、TPPに直接言及せず、民主党の綱領もTPPの文言を盛り込まなかった。トランプ氏とクリントン氏ともTPP反対論に当初の勢いはなく、早期承認の可能性を残している。

 

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