政治・経済

 エンターテインメント事業については、大株主のヘッジファンドであるサード・ポイントから分割上場するように提案があり、それをソニー側が拒否した経緯がある。仮にサードポイントの提案どおりに分割上場し、少数株主がエンターテインメント事業の経営に加わると、ソニー以外のテレビメーカーとの提携にメリットがあると判断される可能性もある。そうなると、現在進めているような、4Kテレビとセットトップボックスを組み合わせた展開ができなくなる事態も起こり得る。

 こうしたことを踏まえて、ソニーグループとしてはエンターテインメント事業を戦略上重要不可欠なビジネスと考えている。将来に向けてのソニーグループの重要な原動力と位置付け、今後も100%保有することで、スピーディーな経営判断を実行していくという。

海外展開に不安材料も製品開発に活路

 回復基調にはあるが、13年度通期予想を下方修正したように、エレクトロニクスをはじめソニーの事業環境は厳しい。

 スマートフォンにしてもワールドワイドでの市場は拡大し続け、今後の成長が期待できるが、ソニーとしてもシェア拡大は容易ではない。特にシェア3位を目指す上では、米国、中国市場への展開が鍵となる。両市場は今後の柱の1つになり得る市場だが、ソニーとしてはまだそこまで手が回っていないのが現状だ。モバイル事業では現在2位の日本市場および3位の欧州市場におけるシェアの堅持・拡大を最優先事項とし、経営資源を投入している。米国は既にT-mobileにXperia Zを供給しているが、徐々に展開している状況。中国はいまだ検討の段階だという。

 「すべてを一度にやるのは現実的ではなく、段階的に市場を一つずつ確実にとらえていくというスタンス」で臨む。強い市場での足場をいかに早く固めて、成長市場へリソースを転嫁できるかが鍵となる。

 また、新たな課題として新興国の為替の問題がある。業績の回復に伴い新興国のビジネスの比率が上がっている一方で、新興国通貨のバランスが崩れてきている。場合によってはビジネスにマイナスに効いてくる可能性があるという。こうした外的要因を課題の1つと認識しているが、ソニーのコントロールの及ばない部分でもある。

 こうした現状の打開に向けて、ソニーでコントロールできる部分として、平井社長は構造改革のさらなる推進とソニーらしい製品の開発を挙げた。

 「構造改革については、社長に就任してからさまざまな形で続けていますし、コストの削減は各事業部のプライオリティーとして今でも進めています。そして厳しい環境だからこそ、お客さまに『これはソニーらしい商品だよね』『これって面白いよね』と言っていただける商品を積極的に開発していくことが重要です。社内でリスクをとって、面白い、ソニーらしい商品が市場に出てくる環境を組織的には作りました。各事業部から面白いものが出てきて、タイムリーに市場に投入されていくという流れは、もっとスピードアップできると思っています」

 平井社長の改革はこれから正念場を迎える。

(本誌/村田晋一郎)

 

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