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過去20年間、インドでスラムに暮らす人は2倍に増加

 もしも映画、「スラムドッグ$ミリオネア」を見ていない人がいたら、すぐに見ることをお薦めする。この映画はおよそありそうもないハッピーエンドで終わるおとぎ話だが、スラムに生きる無数の住人の生活を生き生きと描いている。スラムは地方のみならず大都市にも存在する。そうしたスラムは外国人にとってまさしく映画の舞台だ。

 過去20年間でスラムに暮らす人の数はおよそ2倍となった。1981年の2700万人が、91年に4600万人、2001年に6100万人、そして10年末には7千万人に達した。金融の本拠地、ムンバイには数多くのスラムがあり、アジア最大のスラムであるダラヴィ地区もある。

 インド経済は過去5年間に平均年率8%で成長してきたが、アナリストは、多くの貧困層はこの成長の蚊帳の外にいると指摘する。政府は都市部のスラムの住人のための施策をいくつか実施したが、「ジャワハルラル・ネルー全国都市再生計画」(JNNURM)もその一つで、約50都市で都市部の貧困層のために住宅や公共施設を提供している。

インドの経済的な長期停滞もスラム増加の要因に

 一般的にスラムは、もともときちんとした住宅エリアだったものが、住人が他の良い地区に移り住んだ後に、家屋が細かく仕切られて低所得者層に賃貸されてスラムとなった。

 インドでは、もともとは経済的な理由から住居に適さない場所に住み着いた人々のスラムもあれば、新しい都市開発によって住み家を奪われた住民が住み着いてできたスラムもある。

 そうしたスラムは、政府が水道や排水設備をはじめとしたインフラを整えていないので、居住地としてふさわしくない。スラムが増えたのは、インドの経済が長い間停滞していて、政府が住宅を整備する余裕がなかったためでもある。

 また、国の管理が行き届かなかったせいもある。加えて、独立以来、中央政府や各州はそれぞれにスラムの判断基準を設けていたため、どの地域が開発すべきで、どの地域が開発中かが判別しにくく、開発や整備が進まないという状況を生んでいる。例

 えばある地域ではスラムの中に高層ビルがあるなど、インフラが本当は整っているのだが、周囲はスラムのまま残されているのは、住民の開発に対する反対が大きいからである。また、そうしたところでは犯罪も多く、政府も手を余している。

役人の怠慢が招いた結果スラムは国有地に多い

 インドの経済発展が不均衡であるため、地方の雇用機会はあまり多くない。そのため、こうした地方では高い失業率と低い求人率のために、就労機会を求めて都市に出て行かざるを得なくなる。この現象は、独立後に急速な都市化が生じたことで増加したが、人々は住む場所を見つけることができず、未開発の地区に移り住んだ。

 サービス部門の成長で都市部は急激な人口増加を見たものの、都市のインフラは同じペースで増えてはいかなかった。地方からの膨大な数の移住者や、非公式部門で働く労働者のための住居やその他の施設が間に合わなかった。

 支援のないほとんどの移住者は、どこであろうと住めるところに住まざるを得なかった。元からいる人々と流れ着いてきた多くの移住者の人口増加がスラムを膨れ上がらせた。多くのスラムは国有地にある。これは役人の怠慢と管理不行き届きが招いた結果である。

 スラムの住人には自分たちの住宅の所有権がないため、政府機関に基本的設備を要求することができない。仮にそれらが提供されたとしても、これらの地域は開発された地区とは比較にもならないくらい劣っている。多くのスラム住人は単純労働者や半熟練労働者であり、おしなべて貧困層以下である。多くのスラム住居は基準を満たす衛生設備や水道や電気設備もない。

 国家スラム開発計画は、スラムの段階的改善を目指し、水道、道路、街灯、トイレなどの基本的設備を整えていくことを目的として96年に始まった。

 最近始まった取り組みは、現存するスラムを公式な社会体制の中に取り込んで、普通の町と同様のレベルの設備を整える一方、スラム出現の背景にある制度の不備を是正し、都市部の土地不足の打開や、都市部の貧困層への住居問題の解決など総合的に取り組んでいる。

インドのスラム撲滅プロジェクトは日本企業の潜在的マーケットに

 もしインドがスラム問題に取り組んで人々に住居と基本的な設備を確保して、生活環境が整えば、皆がきちんとした雇用を確保でき、国全体の透明性と生産性の向上に貢献するだろう。政府は多くの施策を実施してきたが、先は長い。スラム撲滅ができれば、インドは今後世界の表舞台で大きく輝くであろう。

 スラム撲滅のためのインフラプロジェクトが計画されている。この分野は日本企業にとって潜在的なマーケットである。

 スラムが一掃されるまでは、大都市の真ん中にスラムがある、あるいは巨大なビルがスラムの中に存在する、という対照的な風景を目にすることができる。ある意味現代インドがつくる名所である。

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