文化・ライフ

硬派のジャーナリストとして多忙を極めた蟹瀬誠一さんですが、50歳を迎えた頃から生活パターンを改め、今では週末になると軽井沢で人生を謳歌しているそうです。「年を取っても老人になるわけではない」と言い切る蟹瀬さんに、若さの秘訣をお聞きしました。

平日東京、週末軽井沢のマルチハビテーション

佐藤 蟹瀬さんとはゴルフ場で会うことが多いですね、今は日本ゴルフ改革会議副議長も務めていらっしゃいます。

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(かにせ・せいいち)1950年生まれ。日本大学文理学部体育学科中退後、上智大学文学部新聞学科卒業。AP通信社記者、AFP通信社、『TIME』誌東京特派員を経て、ジャーナリストとして独立。TBSやテレビ朝日などでニュースキャスターを務める。現在、明治大学国際日本学部教授、日本ゴルフ改革会議副議長等を務めている。

蟹瀬 ずっと硬派のジャーナリストとして過ごしてきましたが、50歳を機に間口を広げることにし、ゴルフにも関わるようになりました。堕落したと言う人もいましたが、自分の人生、自分で楽しまないと。

佐藤 それで今は軽井沢ライフを楽しんでいらっしゃる。

蟹瀬 軽井沢に家を持ったのは10年近く前です。取材でヨーロッパ、特に北欧に行くと、普通の人がセカンドハウスを持っている。月曜日から金曜日までは都会の家から職場に通い、週末になると、1時間ほど離れたところにある自然に囲まれたもうひとつの家に移り、人間らしさを取り戻す。そういう生活をまねしたいとずっと思っていました。

 日本で、都心から1時間で行けて都会的利便性がありながら自然を楽しめる場所というと、軽井沢がダントツです。そこで、家を持つことを決めました。

佐藤 蟹瀬さんは確か賃貸派でしたよね。それなのに軽井沢に家を建てると言ったら、奥さんは驚いたでしょう。

蟹瀬 最初はぎょっとしてた(笑)。そこで戦略を考えました。彼女の喜ぶ景色を見せれば心がなびくだろうと、彼女が好きなコブシの花が咲く頃に連れて行った。案の定、その風景を見たら、軽井沢に住むことに乗り気になりました。

 今では平日は東京、週末は軽井沢ですし、夏の間はここから東京へ通勤する生活になりました。「デュアルライフ」という言葉があるけれど、これだと本妻以外の別宅がある二重生活と受け取られかねない。そこで、複数の住居がある「マルチハビテーション」、略して「マルハビ」をはやらそうと思っています。

40代まで種をまき50代からは収穫期

佐藤 蟹瀬さんは本当に人生を楽しんでいらっしゃいますね。その秘訣を教えてください。

蟹瀬 行き当たりばったりに人生を楽しんできただけです。ただ、取材でいろんな現場に行くと、ベルリンの壁のようにそれまで絶対と思っていたものがあっという間に崩れることもある。「9.11」のように、突然何千人もの命が奪われることもある。そんな命のはかなさを知れば知るほど、今この瞬間を楽しく生きようという思いは強くなります。

 もうひとつ、アメリカにいる時代に、10年ごとに軸を変えていく生き方はいいな、と考えるようになりました。それは「20代は美、30代は強、40代は賢、50代は豊、60代は健」というものです。

 20代はやりたいことができるし、失敗してもやり直しがきく。30代は家庭を持ったりローンを抱えたりで肩に荷物が乗ってくる。歯を食いしばりがむしゃらに働く時期です。40代はひと息ついて、それからの人生をにらんで賢明な選択をする時期。ここまでが種まきで、50代からは収穫です。

 50代は豊さを実感する時期。自分で幸せを感じることにお金と時間を使うべきです。私が仕事の間口を広げたのも50代になったからです。そして60代は健康に生きる。健康でなければ人生を楽しむことはできません。年寄りになったから遊ばなくなるのではなく、遊ばなくなるから年寄りになるんです。年齢を重ねても老人になる必要はありません。

佐藤 だから蟹瀬さんはいつまでも若々しいんですね。私も大いに見習いたいと思います。


対談を終えて

20160906SANSAN_P02お会いするたびに、その若さに驚かされる蟹瀬さん。「人生、行き当たりばったり」とおっしゃっていましたが、その場その時に全力で物事にぶつかってきたからこそ、人生を楽しむことができるのではないでしょうか。

ジャーナリストを選んだ理由(前編)――蟹瀬誠一

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