文化・ライフ

硬派のジャーナリストとして多忙を極めた蟹瀬誠一さんですが、50歳を迎えた頃から生活パターンを改め、今では週末になると軽井沢で人生を謳歌しているそうです。「年を取っても老人になるわけではない」と言い切る蟹瀬さんに、若さの秘訣をお聞きしました。

平日東京、週末軽井沢のマルチハビテーション

佐藤 蟹瀬さんとはゴルフ場で会うことが多いですね、今は日本ゴルフ改革会議副議長も務めていらっしゃいます。

20160906SANSAN_P01

(かにせ・せいいち)1950年生まれ。日本大学文理学部体育学科中退後、上智大学文学部新聞学科卒業。AP通信社記者、AFP通信社、『TIME』誌東京特派員を経て、ジャーナリストとして独立。TBSやテレビ朝日などでニュースキャスターを務める。現在、明治大学国際日本学部教授、日本ゴルフ改革会議副議長等を務めている。

蟹瀬 ずっと硬派のジャーナリストとして過ごしてきましたが、50歳を機に間口を広げることにし、ゴルフにも関わるようになりました。堕落したと言う人もいましたが、自分の人生、自分で楽しまないと。

佐藤 それで今は軽井沢ライフを楽しんでいらっしゃる。

蟹瀬 軽井沢に家を持ったのは10年近く前です。取材でヨーロッパ、特に北欧に行くと、普通の人がセカンドハウスを持っている。月曜日から金曜日までは都会の家から職場に通い、週末になると、1時間ほど離れたところにある自然に囲まれたもうひとつの家に移り、人間らしさを取り戻す。そういう生活をまねしたいとずっと思っていました。

 日本で、都心から1時間で行けて都会的利便性がありながら自然を楽しめる場所というと、軽井沢がダントツです。そこで、家を持つことを決めました。

佐藤 蟹瀬さんは確か賃貸派でしたよね。それなのに軽井沢に家を建てると言ったら、奥さんは驚いたでしょう。

蟹瀬 最初はぎょっとしてた(笑)。そこで戦略を考えました。彼女の喜ぶ景色を見せれば心がなびくだろうと、彼女が好きなコブシの花が咲く頃に連れて行った。案の定、その風景を見たら、軽井沢に住むことに乗り気になりました。

 今では平日は東京、週末は軽井沢ですし、夏の間はここから東京へ通勤する生活になりました。「デュアルライフ」という言葉があるけれど、これだと本妻以外の別宅がある二重生活と受け取られかねない。そこで、複数の住居がある「マルチハビテーション」、略して「マルハビ」をはやらそうと思っています。

40代まで種をまき50代からは収穫期

佐藤 蟹瀬さんは本当に人生を楽しんでいらっしゃいますね。その秘訣を教えてください。

蟹瀬 行き当たりばったりに人生を楽しんできただけです。ただ、取材でいろんな現場に行くと、ベルリンの壁のようにそれまで絶対と思っていたものがあっという間に崩れることもある。「9.11」のように、突然何千人もの命が奪われることもある。そんな命のはかなさを知れば知るほど、今この瞬間を楽しく生きようという思いは強くなります。

 もうひとつ、アメリカにいる時代に、10年ごとに軸を変えていく生き方はいいな、と考えるようになりました。それは「20代は美、30代は強、40代は賢、50代は豊、60代は健」というものです。

 20代はやりたいことができるし、失敗してもやり直しがきく。30代は家庭を持ったりローンを抱えたりで肩に荷物が乗ってくる。歯を食いしばりがむしゃらに働く時期です。40代はひと息ついて、それからの人生をにらんで賢明な選択をする時期。ここまでが種まきで、50代からは収穫です。

 50代は豊さを実感する時期。自分で幸せを感じることにお金と時間を使うべきです。私が仕事の間口を広げたのも50代になったからです。そして60代は健康に生きる。健康でなければ人生を楽しむことはできません。年寄りになったから遊ばなくなるのではなく、遊ばなくなるから年寄りになるんです。年齢を重ねても老人になる必要はありません。

佐藤 だから蟹瀬さんはいつまでも若々しいんですね。私も大いに見習いたいと思います。


対談を終えて

20160906SANSAN_P02お会いするたびに、その若さに驚かされる蟹瀬さん。「人生、行き当たりばったり」とおっしゃっていましたが、その場その時に全力で物事にぶつかってきたからこそ、人生を楽しむことができるのではないでしょうか。

ジャーナリストを選んだ理由(前編)――蟹瀬誠一

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

最高の形でシーズンを終了したBリーグにさらなる飛躍の予感

[連載]二宮清純のスポーツインサイドアウト

二宮清純の「スポーツ羅針盤」

[連載]二宮清純のスポーツインサイドアウト

「ペイドライバー」と揶揄されるランス・ストロールの今後に注目

[連載]二宮清純のスポーツインサイドアウト

理想よりも現実。手段よりも結果。東北楽天・梨田監督の戦いぶり

[連載]二宮清純のスポーツインサイドアウト(第59回)

マラソンでメダル獲得目指す日本に妙案なき現実

[連載]二宮清純のスポーツインサイドアウト(第57回)

不世出の大投手、沢村栄治をめぐるスピードボール論議

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第19回)

壮大な目標を立てると努力しない人材になる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

CEOのゴルフ

一覧へ
eyecatch_CEOgolf_new

[連載] CEOのゴルフ(第19回)

腰と肩を同じように回すから飛距離が出ない

[連載] CEOのゴルフ(第18回)

右足の力で飛ばすには左股関節の「受け」が必要

[連載] CEOのゴルフ(第17回)

直線的に振り下ろす感覚がスライスの原因

[連載] CEOのゴルフ(第16回)

切り返しで下へ力を加えることが飛距離の源泉

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

「日本初」にこだわる男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

「損して得を取る」事業モデル  不動産登記情報を扱う「登記簿図書館」をご存じだろうか。 かつては法務局でしか取得できなかった登記簿情報がオンラインで簡単に取得でき、かつ、法務局では対応できないさまざまなサービスを提供するというものだ。保有登記情報は全国2450万件、会員数9500社を誇る。 この登記簿図書館を…

支持政党なし

外国人を中心に需要が高まるソーシャルレジデンスで快走―オークハウス

独自のプラットフォーム戦略で、外食産業の新たなスタンダードを創造する――きちり社長 平川昌紀

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。 100年弱の歴史を持つ合成香料のトップメーカー ── まず御社の特徴をお聞かせください。 桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

20150609_INNOV_P02

デザイナーズ家具のEC販売で業界の“常識打破”に挑戦――リグナ社長 小澤良介

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年を控えて「世界に貢献し、インパクトを与える人」の育成に努めます――西南学院大学・K.J.シャフナー学長

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

企業eye

一覧へ

社員の人間力を武器に5期連続増収を果たす投資用不動産会社――パートナーズ

パートナーズは全国の中古投資用不動産の売買仲介を手掛けている。2011年の創業以来、5期連続増収を達成。吉村社長は業績好調の原動力を「社員の人間力を養い、顧客満足度の向上に取り組む姿勢にある」と語る。── 数ある投資用不動産会社の中、独自の強みについて。吉村 当社では、社員の人間力を徹底的に磨きな…

企業eye

クラウドソーシングを活用した動画制作やオンライン動画制作プラットフォームを提供――Crevo

海外ビジネスの第一線で活躍した2400人のエキスパートを擁し、日本企業の海外事業を支援。

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界8月号
[特集]
会社が変わる時

  • ・伊藤秀二(カルビー社長兼COO)
  • ・星野佳路(星野リゾート代表)
  • ・森山 透(三菱食品社長)
  • ・笠原健生(クアーズテック社長)
  • ・駒村純一(森下仁丹社長)
  • ・小渕宏二(クルーズ社長)
  • ・大山健太郎(アイリスオーヤマ社長)
  • ・秋本英樹(リンガーハット社長)

[Interview]

 糸井重里(ほぼ日社長)

 クリエーターの僕が経営者になった日

[NEWS REPORT]

◆誕生10年! iPhoneは世界をこう変えた

◆インディ500とル・マンにF1 モータースポーツの経済効果

◆Jリーグ放送権喪失後の展開 スカパー! はどうなるか

◆売り手市場の就職戦線に笑うものなし

[政知巡礼]

 下村博文(衆議院議員)

 「教育立国こそが、国家として目指す道」

ページ上部へ戻る