政治・経済

 総務省は2017年度からの3年間の電波利用料の新たな使途として4Kや8Kの推進に向けた衛星放送の受信環境や地上放送向け技術開発などへの活用を目指すことになった。しかし、これは総務省の「電波政策2020懇談会」の下の「制度ワーキンググループ」で検討、NHKと民放連の要望を受ける形で決まったものだが、電波利用料収入を減らしたくない総務省が放送事業者に振り付けした出来レースが実態だ。

 電波利用料は、「有限な国民の資産」である電波の利用料を、電波の受益者である放送事業者や携帯電話事業者などから徴収して、電波監視や環境整備、技術開発など電波利用促進にかかわる用途に使うもので、共益費用に位置付けられる。

 01年から国策として推進された地デジ対策として年間約300億円が電波利用料から充てられてきたが16年度で地デジ対策は終了。総務省の電波政策課は地デジ対策に代わる新たな用途作りに苦労していたが、目を付けたのが20年の東京五輪を見据えた4K・8K映像の整備事業というわけだ。

 当初、放送事業者や携帯電話事業者が総務省に求めていたのは年間約700億円の総額削減だった。特に電波利用料のうち携帯電話で6割、PHSやBWA(広帯域移動無線システム)を含めて9割近くを負担している携帯電話事業者は前回の見直しでやや軽減されたとはいえ、放送事業者との格差は依然大きく、不満が募っている。

 ただ、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクグループとも営業利益でトップ10の常連という儲けすぎ業界の代表だけに総務省も要望にそのまま応えるわけにはいかない事情がある。そこで浮上したのが「4K・8K」というわけだが、背景には、一度確保した予算は是が非でも減らすな、という霞が関の不文律があるからだ。民主党(現民進党)政権時代の事業仕分けで予算削減攻勢も嵐が過ぎれば元の木阿弥。使途に制限があるとはいえ、自分たちの裁量で「業界支援」というにらみを効かせる電波料行政の旨味は決して手放さそうとしない。

 

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