政治・経済

 麻生太郎財務相が超長期債の「40年債」を増発すると表明した。当初、財務省内ではさらに償還年限の長い「50年債」の発行も検討された。しかし、日銀が大量に国債を買い付ける現状では「ヘリコプターマネー」を意識させ、「あまりに露骨」との批判もあり、40年債増発で落ち着いたようだ。

 麻生財務相は8月2日、帝国ホテルで日銀の黒田東彦総裁と会談。その後の記者会見で40年債を増発する考えを明らかにした。日銀のマイナス金利政策による低金利を生かし、経済対策に盛り込んだ長期のインフラ整備などを加速させる。

 そもそも、会談は「政府と日銀の連携をあらためて確認するもの」(幹部)であり、突然、40年債増発の話が出てきたのには伏線がある。

 7月以降、金融資本市場はヘリコプターマネーの導入に右往左往した。7月12日にバーナンキ元FRB議長が安倍晋三首相との会談で言及したとの憶測が広がった際には円安・株高に大きく振れた。

 ヘリコプターマネーはハイパーインフレや財政規律悪化の弊害があり、政府と日銀は即座に否定。すると今度は円高・株安に逆回転。さらに7月29日の金融政策決定会合が小出しの緩和で終わると、日銀の金融政策の限界が意識され、長期金利が急上昇。政府には好ましくない状況になった。

 40年債増発は、おおっぴらには認められないものの、「日本版ヘリコプターマネー」を演出し、円安・株高・低金利に誘導したい財務省の思惑が透けているようにみえる。7月に突然浮上した50年債発行の案もその文脈で考えれば合点がいく。世界的な低金利環境で韓国なども検討しており、突飛な意見ではない。

 とはいえ、財務省はこれまで財政規律重視を錦の御旗にしてきた。省内の一部には、拡張財政につながる恐れのある超長期債発行やヘリコプターマネーの話が次々と飛び出すことを不安視する意見も根強い。

 
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