政治・経済

 8月27日にソウルで開かれた日韓財務対話は、緊急時にドルなどの通貨を融通し合う通貨交換協定の再開に向け、協議を始めることで合意した。世界経済の不透明感が強まる中、韓国がメンツを捨てたかに見えるが、日本と中国を天秤にかけるしたたかな戦略があり、財務省の「完勝」とはいいにくい。

 前回の東京開催に続いて2年連続となった今回の財務対話は、麻生太郎財務相と柳一鎬(ユ・イルホ)韓国企画財政相、財政当局の幹部が出席した。

 通貨交換協定は2015年2月に打ち切られた。竹島の領有権問題や歴史認識をめぐる関係悪化が引き金だった。

 再開について、財務省は交渉前から、自分たちが持ちかけることはないと伝達していたという。15年には日本が配慮を見せたにもかかわらず、韓国が一方的に打ち切りを決定。「メンツをつぶされた麻生財務相は激怒した」(関係者)とされ、感情的なしこりもあった。

 韓国側は対話直前には通貨交換協定は議題に入っていないとわざわざメディアに伝えた。しかし、当日に新たな通貨交換協定に向けた協議入りを持ちかけ、財務省側も了承。サプライズを演出した。

 韓国国内に反日が根強いにもかかわらず、日本側に頼み込んだのは、英国の欧州連合(EU)離脱や中国経済の減速で金融市場の先行きが見通しにくくなっていることがある。従軍慰安婦問題をめぐる昨年末の合意で日韓関係が改善したのもプラスになった。

 何より、韓国は日本との通貨交換協定を打ち切る一方で、中国と協定を締結していた。しかし、北朝鮮のミサイルを迎撃するシステムを配備したことで、中国の怒りを買っており、早期に日本との関係を再構築する必要性に迫られていた。

 今後、財務省は韓国側と新たな通貨交換協定の具体化に向けた交渉に入るが、どれほど日本側にメリットがあるものに仕上げるか。手にしたのがメンツだけでは困る。

 
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