政治・経済

 国土交通省は訪日外国人旅行客などを乗せたクルーズ船の拠点整備について議論する有識者会議の初会合を9月中旬に開き、受け入れ態勢の強化に向けた本格的な検討に入った。クルーズ船誘致は経済対策にも掲げられている重点項目。国交省はクルーズ船による訪日客数を「現在の5倍に伸ばす」といった力の入れ具合で、今年度中にも方向性をとりまとめる。

 クルーズ船による訪日客数は2013年の17万4千人から、前年比2倍以上のペースで増え、昨年は12月に20年までの政府目標だった100万人の大台を突破した。日本は海外旅行者が陸路で来られない地理的なデメリットを抱えており、空路以外の入国経路の充実は訪日客数の上積みに向け、避けては通れない課題となっていた。

 一方、これまでの態勢は十分ではなかった。日本国内にクルーズ船が寄港する場合、貨物用の岸壁に接岸するのが一般的で、寄港スケジュールが貨物用船舶との兼ね合いでなかなか確定しない、商業施設や旅客施設といった観光客向けの施設が未整備、クルーズ船の大型化に対応できる港湾が限られている――などの課題を抱えていた。

 既に政府は港湾法を改正し、民間事業者が旅客施設などを整備する場合、国が費用の一部を港湾管理者の自治体などに無利子で貸し付ける制度を立ち上げたが、今回の有識者会議で、岸壁の優先使用やクルーズ拠点の整備について港湾管理者、船会社から具体的な投資提案などを募集。民間投資を活性化させる。

 ただ有識者会議は、立ち上げが明らかになったのが会議の前週となるなど唐突感も目立ち、記者向け説明会では「企業が自由に整備すべきものを、なぜ政府が主導するのか」といった質問が相次いだ。政府関係者は「景気が足踏みする日本経済にとって観光分野は数少ない成長銘柄。中でもクルーズ船は官邸サイドの肝いりだ」と国交省がなりふり構っていられない背景を分析している。

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