文化・ライフ

堂島ロールを販売するモンシェールの企業理念は「幸せお届け産業」だそうです。でもこの企業理念に行き着くまでには、何度も壁にぶつかり、「もうダメか」と思ったこともあったとか。その壁が、金美花社長を経営者として一回りも二回りも成長させたようです。

金美花氏は語る 拡大すればするほど社内はギスギス

佐藤 事業は、順調に伸びてきたように見えますが、ご苦労もあったのでしょうね。

 開店直後のセールでは多くのお客さまで賑わいましたが、終わるとピタッと止まりました。そこで知り合いの繁盛店のシェフに教えを乞うたのですが、逆に喝を入れられてしまって。

佐藤 何か怒らせるようなことをしてしまったんですか。

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(きん・みか)1972年福岡県生まれ。朝鮮大学師範科卒業後、筑豊朝鮮小中級学校小学校教師を経て、2003年大阪堂島に現「パティスリー モンシェール堂島本店」を開業、株式会社モンシェール代表取締役となる。ひと巻きの「堂島ロール」が口コミで人気を呼び、現在国内28店舗、海外に14店舗を展開中。(写真=北田正明)

 私が何も知らな過ぎたのが原因です。開業したとはいっても素人のままで、仕事に対する真剣さも今から思えばありませんでした。そこを叱責されたのです。このひと言をきっかけに心を入れ替えました。人の10年分の苦労を1年で積み重ねようと。考えるのは朝から晩までケーキのことだけ。営業時間が終わってからも北新地のクラブの女性たちに試食してもらいました。そこでおいしいと思っていただければ、彼女たちがお客さんにも広めてくれるからです。

 そうやって仕事に向き合っていると、社員やアルバイトも認めてくれるようになります。それからは、チームとして機能するようになりました。

佐藤 会社はいろんな人がいて成り立っています。でもバラバラではうまくいかない。社長と社員が同じ方向を向いたとき、初めて大きく成長するんですね。

 開店から3年で、今度は店を移転しなければならなくなりました。貯金もなければいい場所も見つからない。お店がなくなることを覚悟しました。でも偶然、面接に来た女性にグチをこぼしたところ、彼女のご主人の縁で物件を紹介していただけた。それが今の本店です。

 その後、関東にも出店し、業績も伸びていきました。メディアへの露出も増えていく。ところが社内はどんどんギスギスしていく。そこで社内でアンケートを取ったら、不平や不満がいっぱい書いてありました。

金美花氏の思い 幸せな会社は社員全員でつくる

佐藤 おいしいお菓子をいただくと笑顔になります。でも店内がギスギスしていると、お客もそれに気づいてしまう。こうなると笑顔にはなれませんね。

 そこで大阪で社員大会を開き、こう言いました。「社員が幸せな会社は、誰かが運んでくるものではなくて、ここにいる全員でつくらなきゃいけない」。

 その一方で、改めるところは改めました。それまでは、私の2台の携帯が本社のようなもので、何もありませんでした。そこできちんと組織をつくり、責任者を配置する一方で、「幸せお届け産業」という企業理念を決めました。そこから会社の雰囲気は随分変わったように思います。

佐藤 今後の目標は。

 お店の質をもっと高めていきたいと考えています。さらには堂島ロール以外にも力を入れます。通販では堂島ロールをお渡しできませんが、通販の中で一番おいしいロールケーキをつくりたいですし、焼き菓子でもモンシェールの顔となる商品をつくろうと努力しています。

佐藤 プライベートではいかがですか。

 モンシェールにつながることしかやっていませんが、それが一番楽しくて一番やりがいがありますから。強いて言えば海外に行くことは多かったですが、日本にもいいところはたくさんあるので、日本の地方に行ってみたい。恐らくそこには、いい食材もあるはずです。それを使ったおいしいケーキを食べていただきたいですね(笑)。


20161018SANSAN_P01対談を終えて

食べると自然と笑顔になる堂島ロールは私も大好きです。美花さんのお仕事は人を笑顔にするとても素敵なことですが、ここまでくるには大変なご苦労があったんですね。次はもっと噛みしめて堂島ロールを味わいたいと思います。

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