マネジメント

自分が何者かまず開示せずに、売りたいだけでは顧客を見つけられない

 自分のプロフィールを作って「強み」を確認し、それをブランド化して営業力を強化する。私の知る「稼げる営業マン」は、そのような仕組みを自分に課して自分をいっそう強くしている。しかし、普通の営業マンは、なかなかそこまではいない。

 彼らの悩みは、

1.顧客を見つけられない

2.商談がうまくない

3.目標に到達できない

 の3つであり、中でもお客さまが見つからないというのが共通する悩みである。

 顧客を見つけるというのは、つまり見込み客づくりだ。これが、ほとんどの営業マンの問題点であることは、私の経験上からも分かる。

 ここで、普通の営業マンは見込み客をつくるために技術(スキル・テクニック)を学び、身に付けようと必死になる。そんな彼らをターゲットに、たくさんの営業本も出版されているが、その本を読んでもなお「変化できない営業マン」で世の中は溢れている。

 それはなぜか。実は見込み客をつくるのは話のテクニックや対応のスキルといった技術ではないのだ。

 こうした技術を目的にしているときに意識の主体は自分にある。自分の都合、すなわち「売りたい」だけで、モノを考えているのである。自分を売り込み、説得しようと姿勢が前のめりになっている。

自分が何者かまず開示し、理解してもらった時にお客様は心を開く

 これではダメだ。常に主役は自分ではなく、お客さまに置かなければならない。そうでなくてはお客さまに嫌われてしまう。

 だからまず、自分中心になっているという誤りに早く気付くことが重要なのだ。

 先日、私の講座の卒業生たち、特に保険営業の生徒の方たちの勉強会を開催した。

 十分優秀な営業成績を収めている生徒たちだが、それでもなお、お客さま中心とは本質的にどういうことか、今でも何度も何度も繰り返し説明している。それはとてつもなく稼ぐ営業マンになるために、必ず越えなければならない1番目のハードルだからだ。

 次の商談がうまくないという悩みも、重大だ。これについては、私はお客さまに心を開かせる技術が必要だと考えている。

 お客さまが心を開き、あなたに気を許せば、それはほとんど商談が実ったも同様になるだろう。

 ではお客さまは、どのようなときに、あなたに心を開くだろうか。たった一つだけ、そのような状況がある。

 それは、あなたという人間を理解したときである。

何者を開示したあなたを理解させればあなたの言い分を聞く

 つまり営業マンであるあなたにとって必須な技術は、 「自己開示」なのである。

 あなたという人間を知っていただく。そうすることによってのみ、お客さまと心が通じるだろう。

 想像していただきたい。

 あなた自身、どんな人間かも分からない人に、自分の悩みごとやこれからしたいこと、欲しいもの、人生計画などぺらぺらとしゃべるだろうか。

 まさに、上手な自己開示は、その真逆の状況をつくるのである。心が通じ合ったならば、喜んでお客さまは、自分の悩みや人生計画を話すに違いないのだ。

 まずお客さまに理解され、その真摯な生き方が伝われば、お客さまはあなたと対峙している緊張感を解くことができる。そうした上で、あなたの言い分を聞く姿勢になる。

 このときのあなたのトークは、もはや「説得」ではなく、きわめて自然なプレゼンテーションであり、コミュニケーションとなるだろう。

 これは拙著『1000円ゲーム』(経済界刊)でも詳しく解説しているので、こちらも併せて手に取ってみていただきたい。

今月の流儀

お客さまに、まずは自分の生き方を伝えなさい。

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件とダスキン事件に学ぶ 不祥事対応の原則

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

ブラック企業と労災認定

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

上場して分かったTOKYO PRO Marketのメリット―前田浩・ニッソウ社長に聞く

多くの経営者が目標とする株式上場。しかし、上場に掛かるコストや時間、その他諸々の条件を考慮して、「上場は到底無理」と諦めてしまうケースも少なくない。そんな経営者にとって有力な選択肢となるのが東京証券取引所の運営する第五の市場TOKYO PRO Marketへの上場だ。2018年に同市場に上場を果たした、株式会…

前田浩氏

未来のモビリティ社会実現に向け日本と欧州の懸け橋に―シェフラージャパン

日本一歴史の長い女性用化粧品会社が挑む「革新と独創」―伊勢半

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

一般には馴染みが薄い産業廃棄物処理の世界。古い慣習が残る業界を、ITによって変えようとしているのがトライシクルの福田隆社長だ。業界の老舗企業がテクノロジー導入に舵を切った背景と今後の展望を聞いた。(吉田浩)福田隆・トライシクルCEOプロフィール 産廃処理で「B to B版メルカリ」を目指す&nbs…

再エネ時代到来に向け、大石英司・みんな電力社長が目指す「顔の見える」世界

佐藤輝英・BEENEXTファウンダーに聞く「起業家から投資家に転身した理由」

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年8月号
[特集] SDGsは江戸にある
  • ・「仁義道徳」 経済人に必要な「利益」と「倫理」
  • ・「利他」 「気候変動に具体的な対策を お金の流れが意識を変える」
  • ・「善の巡環」 高邁な理想を支える創意工夫と挑戦
  • ・「才覚、算用、始末、商人倫理」 SDGsの精神宿る江戸商人
  • ・「国利民福」 国が栄えれば人々も幸福になる
  • ・「先も立ち、我も立つ」 石田梅岩と商人道徳
  • ・「気丈」 学問は「治安」「エンタメ」「立身出世」──江戸庶民の教育事情
  • ・「心田開発」 二宮尊徳の報徳思想
[Special Interview]

 里見 治(セガサミーホールディングス会長グループCEO)

 日本初のIR事業への参入はエンターテインメント事業の集大成

[NEWS REPORT]

◆メガバンクからの陥落目前 みずほ銀行の昨日・今日・明日

◆巨大ドラッグストアチェーン誕生か 業界再編はココカラ始まる

◆カリスマ・鈴木修会長に陰り? ピンチを迎えたスズキの前途

◆G20農相会合で見えてきたスマート農業の未来像

[特集2]

 AI時代に稼げる資格

 今必要な資格、将来必要な資格はこれだ!

ページ上部へ戻る