マネジメント

富裕層専門のカリスマFP 江上治

金儲けは技術であり 財産はストックだ

 メンターである美容室チェーンのオーナーHさんに、人生で成功する人間とはどんな人なのか、を聞くと、

1.欲が強くはっきりしている人間

2.マナーを身に付けている人間

3.洞察力に優れている人間

の3条件を挙げた。

 欲のない人間は、口先でかっこいいことを言うが、結局何をしたいのか自分でもよく分かっていない。これでは見込みがない。自分はこういうことをしたい、これが欲しい、とはっきり主張できる人間でなければいけない、というのである。

 次にマナーを身に着けている人間でなくてはならない。

 このマナーとは、お体裁の行儀良さではない。

 Hさんの言葉を借りれば、 「目上の人に恥をかかせない態度と行動がとれること」となる。

 簡単なことのように思うかもしれないが、このマナーは一朝一夕には身に付かない。やはり、親の教育やどんな上司に仕えたかで決まってくる。

 また洞察力というのは、例えば、上司が今望んでいることを素早く察知して、手伝いに出るといったことである。

 上司や先輩の苦手を察知し、例えば書類の整理などを手伝ってあげるような人だ。

 聞いてみれば、拍子抜けするような条件かもしれない。

 しかし、この条件、実は稼げる営業マンにも通じる条件でもある。

 目の前の人を勝たせる、恥をかかせない、苦手を察知してすぐに手を差し伸べる。

 これができれば、営業マンとしても、大きく稼ぐことができるのである。

 私はFPとして、これらにもう一つ、お金に対する考えがしっかりしている人という条件を加えたい。これは、人生の中で、お金がどれほどの地位を占めているかを、正確に認識している人、という意味である。だれもが、お金お金と言い募るが、人生の中でのお金の価値を考えることは少ない。

 哲学者アランは、こう言う。

 「金儲けのうまい人は、無一文になっても、自分自身という財産を持っている」

 ここで、「金儲け」と「財産」が対置的に使われているのがポイントである。

 金儲けは技術であり、一方で財産はストックである。

 金儲けという技術に秀でている人も、技術であるからには失敗もあって無一文になることがあるだろう。しかし、それでも自分という財産は普遍だというわけである。

生き方を見つめて咲く場所を再考しよう

 フローの価値である「金儲けの技術」よりも「自分自身」を貴重なものとせよとアランは語っているのだ。

 とかく自分自身よりも、お金儲けを上位において生きていこうとするものであるが、これは天地を逆にするような愚策というべきだ。それが分かれば、自分を、活き活きとさせていく生き方に、自ずと目が向くのではないだろうか。お金のために働く生き方を考え直すのだ。

 正規・非正規を問わず、不遇な現状に悩んでいる人は、現状の世界でお金を得ていくのが正解なのか、今一度、考えてみてほしい。置かれた場所で咲くだけが自分の生き方なのか、ということである。

 かつての日本は、置かれた場所に居続ければ、社会全体が上向いていた時代だった。終身雇用が会社への信頼をつくり、年功序列が人生計画を確かなものとした時代だった。

 しかし、今の日本は、もはやこうした幸せな状況から、大きく変化している。自分自身の生き方を見つめ、お金とは関係なく、咲く場所をもう一度考えるという選択肢を持つことが、重要な時代となってきているのである。

今月の流儀

欲が強くマナーと洞察力があり、自尊心のある人が成功する。

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