政治・経済

自分が党首ならこんな政策を掲げたい

 政治の世界において、今や民主党のプレゼンスはすっかり小さくなってしまいました。理由のひとつは、争点にできる議題がほとんどないことです。現在、自民党が行っている政策の半分ぐらいは民主党政権時代に枠組みが決まったものなので争点にしにくいし、その他の問題に関しても安倍政権が比較的うまく処理しているため、何を言っても説得力がありません。要するに差別化ができなくなっているのです。

 一方で、国民の間には世の中がより保守的な方向へ向かうことへの危機感があります。この危機感の行き場として、参議院選挙で共産党が躍進したり、センセーショナルな主張をする候補者に票が入ったりしました。ただし、これはあくまでも共産党が政権を取る可能性がないという前提で、国民がそこに出口を求めたということでしょう。民主党としては、今こそ〝リベラル〟の定義をやり直してプレゼンスを高める必要があるし、その需要もあると思います。しかし、大上段に掲げるべき政策がなかなかないのが現実です。

 そこで今回は、僕がもし民主党の代表だったらこんな主張をするという仮定の話をしたいと思います。

 民主党が主張すべき政策の条件として、ものすごくパンチが効いていること、支持者が多いこと、そして日本の将来に役立つことが挙げられます。これらの条件を満たす政策とは何か。それはズバリ、相続税の重税化ではないかと思っています。

 民主党はどちらかといえば社会民主主義的政策を掲げている政党で、格差の是正を重視しています。格差といっても2種類あって、ひとつは競争の結果としての格差、もう1つが環境による格差です。

 日本は資本主義国家である限り、今さら結果としての格差を否定していては社会が成り立ちませんから、修正しなくてならないのは個人の力ではどうしようもない環境の格差のほうになります。そこで注目すべきは、男女格差でもなく、貧富の格差でもなく、世代間の格差です。

 日本人の個人金融資産は1600兆円を超えていますが、このうち60~70%を60歳以上の高齢者が所有していて、なかなか使われないという状況があります。一方で20代の若者の失業率は8%近くあって、全体平均値の2倍近くにも達しています。とはいえ、実家に住んで、資産を持つ親からお小遣いをもらって悠々と過ごしている若者もいて、彼らの間でも2極化が進んでいます。

 親のお金を当てにして生きている若者も良くないですし、もともと親が貧乏なために貧困から抜け出せない若者がいる状態も良くありません。こうした状況を変えるためにも、相続税の重税化は非常に有効だと考えるのです。

国民的議論を呼び起こす可能性

 例えば、居住用の不動産に関しては控除枠を今と同じように設けるなど、最低限の措置を取った上で、一定額以上の資産に関しては80%以上の重税を掛けるようにします。こうして国庫に入るお金が増えれば若者は自助努力するしかありませんし、社会民主主義が標榜する、格差の是正にもつながります。

 国庫への入金が増えれば、1100兆円以上ある国の借金返済にも役立つでしょう。現在の財政赤字は、もともとは高齢者世代の人たちが過去に政策の意思決定をし、彼らの医療費や社会サービス費用として支出を行ってきた結果なので、その分を相続税で相殺するというのは一定の理屈が通ります。政策として、十分あり得るのではないでしょうか。

 もしくは、生きている間にお金を使い切ろうとする高齢者が増えて経済が活性化するかもしれません。どちらに転んでも良い話なのです。仮に課税対象を資産1億円以上にすれば、対象者は恐らく全体の10%もいないはずですから、大多数の国民の支持は得られると思います。

 こういうのは非合理的だとか、経済原則に反するといった反論が出てくるかもしれませんが、野党である民主党からこれぐらいパンチの利いた政策が出てくれば、国民的な大きな議論を呼び起こせるのではないでしょうか。リベラルの新たな考え方として、大きなインパクトをもたらすのは間違いありません。さらに言えば、民主党には自民党より二世議員が少ないので、こうした政策を標榜しても党内から反対論が出てくる可能性は低いと予想できます。

 ただ繰り返しになりますが、ここで話したのは、あくまでももし自分が民主党の党首だったらこういう政策を主張するということです。僕自身がこの政策に賛成するか、というのは別の問題だということを付け加えておきます(笑)。

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