国際

20151222NIRUMARA

3つに大別できるインドの言語の歴史

 インドは極めて広大で、多くの文化、多様な地理的要因を包摂しているため、地方ごとに異なる言語が話されている。インドの大半の言語は2系統の語族に属しており、アーリア語族とドラヴィタ語族だ。南インドの5州で話されている言語はドラヴィダ語系で、北部の言語の大半はアーリア語系に属する。アーリア語系の文字は全般的にドラヴィダ系の文字と異なる。また、インドの人々は基本的に、北インドの発音と南インドの発音の違いを認識することができる。この2大語族と同時に、シナ・モンゴル語族の言語も東インドで話されている。

 今日インドで話されている言語は、インド史のそれぞれ異なる段階に由来している。インド史の初期には多くの別の言語が使われていた。古代インドの諸地域で発展した聖典類は、それぞれ今日とは異なる言語で書かれている。

 ヒンドゥー教の聖典にはサンスクリットが、仏教の経典にはパーリ語が使用されていた。ジャイナ教の聖典はアルダマーガディー語であった。この3言語は今日のインドで、もはや一般的には使用されていないが、サンスクリットだけは公用語の一つに認定されている。現代のアーリア語系の言語はサンスクリットから進化したと考えられているためだ。南インドのドラヴィダ系諸語の間では、タミル語が際だって大きな影響を他のドラヴィダ系言語群に及ぼしていた。

 インド諸語が分岐していった歴史は、3つに大別できる。

 1.古期・ヴェーダ語と古典サンスクリットの時代、2.中期(だいたい3世紀以降)・地域ごとのサンスクリット系方言が生まれ、プラクリット語(パーリ語を含む)が生じる、3.新期、または近代(だいたい10世紀以降)、今日の中部・北部インドの言語が誕生。

 ヴェーダ系サンスクリット、すなわち聖典ヴェーダ類の中で使われている言語は、サンスクリットの最も古い形であり、紀元前1500年頃から紀元前200年頃にかけて使用されていた。

 そのより新しいバージョンである古典サンスクリットは、だいたい紀元前500頃以降使われ、文学書・実用書の言語であった。今日でも古典サンスクリットはインドで広く学ばれ、神聖な言語、教養語としての役割を果たしている。

 文字の書体や有文字言語は古代インドに源泉を持つ。その文字はブラーフミー文字という名で知られている。デーヴァナーガリー文字で書くヒンディー語は、インドの連邦政府が定めた公用語であり、英語は準公用語である。

200以上の言語と1600以上の方が存在

 サンスクリット文学の起源はリグ・ヴェーダ時代にまでさかのぼると思われる。サンスクリット語はインドの古典語であり、インド・アーリア語の高みを極めた。サンスクリット語はインド最古の有文字言語で、5千年以上前から存在し、現代のインド言語の多くの基となった。その最古の方言はヴェーダ時代にアーリア人たちによって話されていた。インドのすべての古典文学や叙事詩はサンスクリットで書かれている。

 サンスクリット語は、インドを十分に強く結び付ける絆である。広範囲にわたる言語の祖で、インド史の中で幾度もインドを繋ぎ留め、再統合してきた絆の一つと言えよう。

 インド史の進化の過程で、アーリア語系言語とドラヴィダ語の双方とも、サンスクリット語と、より発展を遂げてきた。その結果が、今日使われている200以上の言語と1600以上の方言であり、それ以外に第2言語として英語が存在する。

 現在、インドの憲法は22の言語を公用語として認定している。各公用語は、州が公用語として認定した、その地域で特に多く話されている言語である。

 一方でヒンディー語と英語はインド全体で広く使われている。しかし、インドには28の州と7の連邦直轄地があり、ごく少数の州で話される言語も存在する。22の公用語には英語も含まれる。

 すべての紙幣に、英語とヒンディー語、さらに最低15言語で額面が記してある。

 州の公用語はその地で話されているローカルな言語である。もちろん英語は例外だが。現在、インドの学校では3つの言語が教えられている。州の公用語、国の公用語ヒンディー語、第二言語の英語である。教育以外では、新聞、テレビ、ラジオ、ウェブサイトも、より多くの人々に情報を届けるため英語、ヒンディー語、州の公用語の3言語を使用している。

関連記事

好評連載

グローバルニュースの深層

一覧へ

習近平政権下の中国経済と新時代の到来

[連載] グローバルニュースの深層

グローバルニュースの深層

[連載] グローバルニュースの深層

原油事情に関するロシアの分析

[連載] グローバルニュースの深層

プーチン露大統領の内外記者会見

[連載] グローバルニュースの深層

中間選挙後の米国を展望する

[連載] グローバルニュースの深層

中国を制するものは世界を制す

変貌するアジア

一覧へ

鴻海によるシャープ買収のもう1つの狙い

[連載]変貌するアジア(第37回)

[連載]変貌するアジア(第36回)

SDRの一翼を担う人民元への不安

[連載]変貌するアジア(第33回)

開催意義不明の日中韓首脳会議

[連載]変貌するアジア(第32回)

朱立倫の総統選出馬と台湾海峡危機

津山恵子のニューヨークレポート

一覧へ

CESの姿が変わる花形家電よりもネットワークに

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第20回)

津山恵子のニューヨークレポート

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第19回)

米・キューバ国交回復のインパクト

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第18回)

クリスマス商戦に異変! 店舗買いが消え行く

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第17回)

格差問題が深刻化する米国―教育の機会格差解消にNY市が動き出す

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第16回)

米中間選挙で共和党が圧勝 16年大統領選はどうなる!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

「支持政党なし」をつくった男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

リーマンショック後の2010年にスタートした柳前社長時代は大幅な合理化や新興国戦略を推進。経営改革に道をつけ、17年度は過去最高益を更新した。日髙新社長は、事業企画・経営企画や2輪事業の経験と豊富な海外経験を買われてバトンを受けた。売上高の約9割を海外が占めるヤマハ発動機のトップとして、改革路線を継続しつつ成…

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年11月号
[特集]
大丈夫? 御社の危機管理

  • ・サイバーセキュリティ後進国日本の個人情報流出事件簿
  • ・「リアル」「バーチャル」双方で企業を守るセコムとアルソック
  • ・南海トラフ地震、首都直下型地震は、今そこにある危機
  • ・「いつ来るか分からない」では済まされない──中小企業の事業継続計画
  • ・黒部市に本社機能の一部を移転したBCPともう一つの狙い(YKKグループ)
  • ・高まる危機管理広報の重要性 平時の対応がカギを握る

[Special Interview]

 大谷裕明(YKK社長)

 「企業の姿勢や行動が危機対策以上の備えになる」

[NEWS REPORT]

◆胆振東部地震で分かった観光立国ニッポンの課題

◆M&Aでさらなる成長を期すルネサスの勢いは本物か

◆トヨタは2割増、スズキは撤退 中国自動車市場の明暗

◆このままでは2月に資金ショート 崖っぷち大塚家具「再生のシナリオ」

[特集2]

 利益を伸ばす健康経営

ページ上部へ戻る