政治・経済

還暦を迎えてもやまない行動力とスケール感――孫 正義(ソフトバンクグループ社長)

20170124SON_Ph 産業能率大学が年末に発表する恒例「今年の社長」で2016年の1位に選ばれたのはソフトバンクグループの孫正義社長だった。孫氏はこのランキングの常連だが、今回は2位の豊田章男・トヨタ自動車社長にダブルスコア近くの差をつけての圧勝だった。それほどまでに孫氏の行動力は目を引いた。

 まずは6月に「まだしばらくは社長をやる」と、既定の後継人事を白紙化。ここから孫氏は自由を取り戻したかのように、八面六臂の活躍を見せる。7月には日本企業によるM&Aとしては過去最大の3.3兆円で英半導体設計会社のARM社を買収。すべてのものがインターネットにつながるIoT時代になると、ARM社の設計した半導体がいたるところで使われる。孫氏はそこで先手を打ち、ARM社を自分のものとした。

 10月にはサウジアラビアの政府系ファンドと組み、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)の設立を発表。SVFはテクノロジー企業を中心に投資していくが、「最大1000億ドルとなる可能性がある」(孫氏)。ソフトバンクも最低でも250億ドルを投じるという。

 そして最後はトランプ次期大統領と電撃的に会談、初対面ながら今後アメリカに総額500億ドルを投資し、5万人の雇用を生み出すと約束した。次期大統領は孫氏を「業界でもっともすばらしい男の1人だ」と激賞(写真)。この瞬間、孫氏はトランプ氏のもっとも親しい日本人となった。

 恐らくこの勢いは2017年も変わらない。人間、円熟期を迎えると、過激な行動は控えるという。孫氏は今年60歳。還暦を迎えてもなお、行動力もスケール感も成長し続けている。

ナンバーワンにこだわる経営哲学――熊谷正寿(GMOインターネット 会長兼社長・グループ代表)

20170124KUMAGAI_Ph インターネットインフラの世界で、数多くのナンバーワン事業を抱えるGMOインターネットグループ。同社を率いる熊谷正寿代表の戦略は明確だ。「ナンバーワンのサービスを提供する」というものだ。

 「インターネットが普及したことで、情報は瞬時に無料で手に入る時代になった。いいプロダクトをつくれば、お客さまがそれに気付いてくれるし、他社に抜かれても気付かれる。ごまかしはきかない。だからナンバーワンになっても、常にプロダクトをブラッシュアップして、抜かれたらすぐに抜き返す。これを徹底する」と熊谷氏は語る。

 これを実証するのが、ナンバーワン事業の多さだ。GMOインターネットグループは国内ドメイン登録で、9割と圧倒的シェアを誇る。またレンタルサーバー事業でも、過半のシェアを押さえている。このほか、EC支援事業やウェブ上の決済事業、機密情報の漏洩を防ぐSSLサーバー証明書でもトップを走っている。

 2017年度にはあおぞら銀行と組んでネット銀行に参入する。ネット銀行としては後発組だが、後発組だからこそのメリットもある。フィンテックなどの技術を取り入れ、より便利に使える銀行にしていく。目指すは当然、ナンバーワンだ。

「競争嫌い」から生まれたブルーオーシャン戦略――前澤友作(スタートトゥデイ代表取締役)

20170124MAEZAWA_Ph 「競争が大嫌い」――だからこそ人のやっていない未開の分野=ブルーオーシャンでビジネスを展開してきたのが「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ代表取締役の前澤友作氏だ。音楽活動と並行して海外で買い付けたCDやレコードのカタログ通信販売を行うようになり、2000年にはネット通販に切り替え、さらに事業領域をファッションにシフトした。これがZOZOTOWNの原型になった。当時、有名ブランドを数多く揃えたファッション通販サイトは他になく、ZOZOTOWNは順調に業績を伸ばし、今の取扱高は1374億円、スタートトゥデイ全体では1595億円(ともに前3月期)と、ファッション通販サイトのトップをひた走る。

 一貫しているのは、好きなことを仕事にしていること。趣味と仕事は分けるべき、という人も多いが、前澤氏は違う。ファッションが好きだから、その思いが相手に伝わり、その情熱がネット通販に消極的だったファッションブランドを動かした。社員の中にも、ファッション好きが多い。それがひいては他のサイトとの差別化につながる。

 競争嫌いは対外的なことばかりではない。社員の基本給は一律でボーナスも同額だ。社内で競争が起き、隣の人に勝つにはどうするか、などと考えるようになれば、楽しく働けない。楽しく働けなければ人を喜ばせることなどできるはずもない、という考えからだ。

 前澤氏は「好きなことを好きな仲間と楽しくやる」とまで言い切る。「嫌なことはしない」「好きなことをとことん突き詰める」―これがZOZOTOWNの感性の高さにつながり、多くのユーザーを引き付ける。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

「日本初」にこだわる男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

「損して得を取る」事業モデル   不動産登記情報を扱う「登記簿図書館」をご存じだろうか。  かつては法務局でしか取得できなかった登記簿情報がオンラインで簡単に取得でき、かつ、法務局では対応できないさまざまなサービスを提供するというものだ。保有登記情報は全国2450万件、会員数9500社を誇る。  この登…

支持政党なし

外国人を中心に需要が高まるソーシャルレジデンスで快走―オークハウス

独自のプラットフォーム戦略で、外食産業の新たなスタンダードを創造する――きちり社長 平川昌紀

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。 100年弱の歴史を持つ合成香料のトップメーカー ── まず御社の特徴をお聞かせください。 桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

20150609_INNOV_P02

デザイナーズ家具のEC販売で業界の“常識打破”に挑戦――リグナ社長 小澤良介

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年を控えて「世界に貢献し、インパクトを与える人」の育成に努めます――西南学院大学・K.J.シャフナー学長

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

企業eye

一覧へ

社員の人間力を武器に5期連続増収を果たす投資用不動産会社――パートナーズ

パートナーズは全国の中古投資用不動産の売買仲介を手掛けている。2011年の創業以来、5期連続増収を達成。吉村社長は業績好調の原動力を「社員の人間力を養い、顧客満足度の向上に取り組む姿勢にある」と語る。── 数ある投資用不動産会社の中、独自の強みについて。吉村 当社では、社員の人間力を徹底的に磨きな…

企業eye

クラウドソーシングを活用した動画制作やオンライン動画制作プラットフォームを提供――Crevo

海外ビジネスの第一線で活躍した2400人のエキスパートを擁し、日本企業の海外事業を支援。

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界9月号
[特集]
人材恐慌 この危機をどう乗り切るか

  • ・企業が脅える人材恐慌最前線
  • ・人材不足の処方箋 働き方改革でどう変わる?
  • ・加藤勝信(働き方改革担当大臣)
  • ・神津里季生(日本労働組合総連合会会長)
  • ・中田誠司(大和証券グループ本社社長)
  • ・若山陽一(UTグループ社長)

[Interview]

 松本正義(関西経済連合会会長)

 2025大阪万博で関西、日本は飛躍する

[NEWS REPORT]

◆第4次産業革命に走る中国、遅れる日本 松山徳之

◆格安スマホに対抗しauが値下げ これから始まるスマホ最終戦争

◆減収続くも利益率は向上 富士通・田中社長の改革は本物か

◆破綻からわずか2年 スカイマークが好調な理由

[政知巡礼]

 野田 毅(衆議院議員)

 「社会保障の安定した財源は消費税しかない」

ページ上部へ戻る