政治・経済

20170124KEISAN_P01

 東京電力の福島第1原発の事故処理費用が21兆5千億円に拡大することとなった。「廃炉作業の全容が見えない中、費用の算定は困難」(世耕弘成経済産業相)で、上ぶれはある程度織り込まれていた。ただ、これまでの想定の約2倍という衝撃が国民に与える影響は大きく、経産省の方針への反発が強まっている。特に賠償費用の増加分を国民負担とするロジックには異論が出ている。

 東電の経営再建を検討する経産省の「東電改革.1F(福島第1原発)問題委員会」は12月14日、提言案を示した。事故処理の総額は廃炉、除染、賠償がそれぞれ増大し、想定より倍増すると明記した。

 賠償費用は3兆円多い8兆円に増える。増大する賠償費用のうち送電網の利用料(託送料金)に2.4兆円を上限として上乗せする。この費用は、原発を保有する電力会社が事故に備え積み立てるはずだったお金だから、これまで原発を保有する電力会社を利用した人、すなわち、新電力を含む全国民(沖縄電力域内を除く)が負担すべきというのが経産省の理論だ。伊藤邦雄委員長(一橋大学大学院特任教授)は「理屈上は納得できないかもしれないが、国難を国民全体の理解をもって解決していくことが大切だ」と述べた。

 商品を販売した後で原価に入れ忘れた費用を客に請求するような無理筋の手法に見えるが、経産省の狙いは別にある。

 新電力に切り替えた顧客の電力使用量は切り替えていない人より約3割多い。つまり、新電力の顧客は“富裕層”が多いことを示している。経産省幹部は「原発のコスト負担を大手電力のユーザーにだけ押しつけるのは結果として金持ち優遇になる」と主張する。40年かけて支払う場合、一般標準家庭で月平均18円の負担増となる。

 一方、上乗せ額が膨張するとの懸念に配慮し、上限を超えないよう、経産省の電力・ガス取引監視等委員会や消費者庁が確認する仕組みも導入する。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

永田町ウォッチング

一覧へ

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポート――中島優太(エベレディア社長)

 昨今、事業拡大や後継者対策などを目的とした企業同士のM&Aが増加している。同様にウェブサイトのM&Aが活発化している事実をご存知だろうか。サイトの売買で売り手にはまとまったキャッシュが、買い手にはサイトからの安定収益が入るなど、双方に大きなメリットがもたらされている。大手ITグループから個人事業主まで幅広い…

201712EVEREDIA_CATCH

「日本初」にこだわる男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

外国人を中心に需要が高まるソーシャルレジデンスで快走―オークハウス

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。 100年弱の歴史を持つ合成香料のトップメーカー ── まず御社の特徴をお聞かせください。 桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

20150609_INNOV_P02

デザイナーズ家具のEC販売で業界の“常識打破”に挑戦――リグナ社長 小澤良介

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年を控えて「世界に貢献し、インパクトを与える人」の育成に努めます――西南学院大学・K.J.シャフナー学長

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

企業eye

一覧へ

不動産の現場から生産緑地の将来活用をサポートする――ホンダ商事

ホンダ商事は商業施設や宿泊施設の売買仲介、テナントリーシングを手掛けている。本田和之社長は顧客のニーズを探り最適な有効活用を提案。不動産の現場から、生産緑地の将来活用など社会問題の解決にも取り組む。── 事業の概要について。本田 当社は商業施設やホテル、旅館の売買・賃貸仲介(テナントリーシング)を…

企業eye

社員の人間力を武器に5期連続増収を果たす投資用不動産会社――パートナーズ

クラウドソーシングを活用した動画制作やオンライン動画制作プラットフォームを提供――Crevo

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年3月号
[特集]
豪華を極める

  • ・5年で5割増えた富裕層が日本の高額消費を支えている
  • ・伊藤勝康(リゾートトラスト社長)
  • ・バスかクルーズか鉄道か豪華旅行はここまで来た!
  • ・決め手は「唯一無二」4億6千万円のマンションが人気のわけ
  • ・最高価格は1億円超え 夢と体験を売る高額福袋
  • ・九州・霧島のリゾートは1人1泊100万円
  • ・価格は3千万円超でもフェラーリは売れ続ける

[Special Interview]

 寺島実郎(日本総合研究所会長)

 民主主義と経済の在り方が問われる時代に

[NEWS REPORT]

◆中西宏明・日立会長が経団連会長を断らない理由

◆LINEが中国モバイクと提携 シェア自転車事業参入の勝算

◆なんば駅前広場の改造でイニシアチブを発揮する南海電鉄の思惑

[総力特集]

 2018年注目企業44

ページ上部へ戻る