政治・経済

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イラスト/のり


簡単には衆院解散に踏み切れない自民の事情

 「実は、私は政治家としては年男でございます。24年前の酉年に初当選を果たすことができました。48年前、佐藤政権でもやはり、沖縄返還の契機として解散・総選挙があった年であります。そして12年前には、郵政選挙があり、多くの自民党の新人が当選をしました」

 酉年の今年、安倍晋三首相は1月5日、都内で開かれた時事通信社の新年互礼会でのあいさつで、こう語った。国政が大きく動く酉年の幕開けを意味深に語りつつも、こう続けた。

 「今年も選挙があるかと言えばですね、全く考えていない。今年は全く考えていないということは、はっきりと申し上げておきたいと思いますが、ただこの酉年というのは、このように変化のある年。大きく世の中が変わっていく可能性を秘めた年でもあります」

 昨年末から囁かれ続けてきた1月解散説を否定したのだ。この発言では、1月解散はおろか、年内の解散はないと言っているようだが、その後政府筋は、「首相は『今月』と『今年』を間違えた」と、異例の訂正をしたのだ。これによって、11月解散説が永田町では囁かれるようになった。ところが、自民党関係者はこう首を傾げて語る。

 「11月解散の根拠は何もない。それより2月解散の方が有力なのではないか」

 今年の政治スケジュールの中で、早くから注目されているのが今夏に実施される東京都議選だ。小池百合子都知事が新党を旗揚げするか、自民党都連は大敗するのか、都議会の勢力図はどう変わるのか。テレビでは連日のようにワイドショーが取り上げ、さまざまなシミュレーションを描き、侃々諤々議論している。

 ここでポイントとなるのが、今夏の解散を公明党は大反対しており、衆院の夏の解散は「ない」というのが、大前提だということ。つまり、解散のタイミングは1~2月、10~11月に絞られているというものだ。その1月を安倍首相は否定したものだから、秋解散が“独り歩き”しているのである。

 しかし、前出の関係者は語る。

 「1票の格差を是正するため、0増5減の区割りが5月27日に確定する。11月解散なら、新区割りで選挙をすることとなる。とすれば、自民党は少なくても26~30議席を落とすと試算している。果たして、本当に解散ができるのか」

 候補者調整も難航することは想像に難くない。大量の所属議員を抱える自民党だからこその悩みで、軽々に解散に踏み切れるとは考えづらいのだ。

2月の電撃解散に踏み切る可能性も

 加えて、都議選で自民党が大敗すれば国政選挙に大きく影響することも考えられる。公明党との亀裂が、国政にどう影響を与えるのか。連立パートナーとの距離感が微妙になってくる話で、維新を加えた3党連立は簡単な道のりではない。さらに、米国のトランプ大統領の動きが未知数で、日本経済にどのような影響を及ぼすのかが、はっきりしない。右肩下がりの経済状況になったら解散どころではない。

 このような問題点を数え上げた上で、関係者は秋解散はノーと語る。そこで燻っているのが、2月解散説だ。

 「1月20日の通常国会召集で、真っ先にやるのが第3次補正予算。それさえすんなり通せば、2月に解散することは可能。2017年度予算は立て付けができているので、選挙後すぐに可決させれば問題ないはず」

 確かに、いまだに野党は足並みが揃わず、電撃的に解散を仕掛けられれば、混乱して議席を伸ばすことは不可能に近い。

 「せいぜい共産党が5~8議席上積みする程度で、民進党は大幅に議席を落とすことになるでしょう。今なら自民党は議席をさらに伸ばすことも可能です」(政治ジャーナリスト)

 また、2月解散の根拠になるのは、自公で占める3分の2の数を維持しておく必要が、安倍首相にはあるからだという。そういえば、年頭のあいさつで安倍首相は、堂々と憲法改正に向け、意欲を示している。

 「新しい時代にふさわしい憲法はどんな憲法か。今年はいよいよ議論を深め、だんだん、姿・形を表していく、私たちが形作っていく年にしていきたい」

 つまり、憲法改正元年宣言だ。だとすれば、3分の2の「数」をキープしておくのは当然の話。リスクの高い秋より、直近のタイミングを見計らっているとの説は、真実味を帯びている。

 とはいえ、解散権は時の権力者である首相の専権事項。どのタイミングで伝家の宝刀を抜くかは、首相自身しか知る由がない。波乱万丈の酉年となるのか、注視していきたい。

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