マネジメント

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楽天のドローン「天空」(Photo=提供:楽天)

楽天は2016年5月、千葉県のゴルフ場で1カ月間、ドローン配送サービスを実施した。期間と場所を限定したとはいえ、一般消費者向けに実サービスを提供する初めての事例となった。また、11月にはLTEを介した実証実験を実施。将来的な配送サービスの展開に向けて、一歩ずつ進んでいる。

安全面の配慮を徹底し試験サービスを成功

 楽天は、一般消費者向けドローン配送サービス「そら楽」の開発を進めている。その第一弾として、2016年5月から1カ月間、千葉県御宿町のゴルフ場「キャメルゴルフリゾート」において商品を配送するサービスを試験的に実施した。商品はクラブハウスの売店で販売している商品に加え、飲料や軽食など計100点を用意した。

 サービス実施にあたっては、飛行規制に関する交渉の過程で、安全面を考慮し人の頭上を飛ばないことが絶対条件となった。このため、クラブハウス近くの離陸地点から15番ホールのフルバックティー近くに設けた着陸地点まで数百メートルの距離を配送することになった。

 ドローンの機体「天空」は楽天が出資している自律制御システム研究所の技術がベースにある。ドローンは自律制御で、離陸ボタンを押してからはノータッチで、プログラムされた通りに指定の高度まで上昇し指定の経路を通り、指定ポイントで荷物を降ろして、また離陸して同じ経路で戻ってくる。ラジコン操作では、操作ミスによるヒューマンエラーの可能性があることと、物流は本来それなりの距離を運ぶものでラジコンの電波が及ばない範囲まで飛ぶことになるため、将来的なことを見据えて、自律制御のドローンを導入する。

 実際のオペレーションでは、御宿の強風に悩まされたという。ドローンの最大積載量は2キログラムとしているが、重量が重くなるほど突風に対する耐性が落ちるため、その日の気象条件に応じて積載量を減らすなどして対応した。さらに一定の風速を越えたら飛ばさないことを徹底し、安全な範囲内でサービスを運用した。一方で防水機能はなかったため、雨天は中止とした。また、ドローンに取り付ける配送用ボックスの中で荷物が動くと、ドローンがバランスを崩すため、梱包では荷物が動かないよう細心の注意を払った。

 結果として1カ月間のサービス実施で、ドローンが落ちるような大きなトラブルはなかったという。「われわれとしては大成功だった」とドローンプロジェクト推進課シニアマネージャーの向井秀明氏は手応えを語る。

LTEの実証実験で長距離配送にもメド

 楽天としては、このままゴルフ場でのサービスを続けることも可能だったが、次のフェーズの開発に注力するため、いったんサービスを中止した。そしてサービス実施で得られた改善点をフィードバックした新機体を11月に発表した。

 新機体では耐風性を向上させたほか、安全面では万が一のトラブルに備えてパラシュートを付けた。さらに完全防水ではないものの、カバーなどの形状を変えて防滴性を備え、軽い雨なら飛べるようにした。一方で、積載重量は変えていない。荷物の重さを上げると離陸重量全体が上がり安全性を損なう。楽天としては機体の積載重量を据え置き、飛行回数を増やして多くの配送に対応する方針だ。

 さらに新機体の発表に合わせて、ドローン特区である千葉市内で配送サービスの実証実験を行った。将来的なビジョンとして、市川塩浜の倉庫「楽天フルフィルメントセンター」から幕張新都心のドローン対応マンションに直接ドローンが商品を運ぶという構想がある。その縮図として、陸上の離陸地点を飛び立ったドローンが一度海上に出て海上を進み、陸上に戻って着陸地点に荷物を届けるデモを行った。実際の配送では10キロメートルの距離の飛行も想定され、ラジコンの無線は届かないため、NTTドコモのLTEを使った実証実験を行った。

 LTEを介したため、今回の飛行は二子玉川の楽天本社でモニターしており、実際にドローン離陸の指令は楽天本社から行った。今回LTEを介した飛行を実現したことで、「クリムゾンハウスから、いろんなところのドローンを離陸させて、オペレートする世界もみえてくる」(向井氏)という。

 今後の展開としては、空から商品を届ける新たな利便性を提供すること、過疎地の買い物弱者などに配送サービスを提供すること、救援物資搬送など災害対応の3本柱で考えている。

 その実現のためには、さらなる規制緩和が求められる。11月の千葉市の実証実験の実施でも特区でありながら20の関係各所の調整が必要だったという。規制に関する問題として、現在はホビー用も商用ドローンもすべて含めた包括的な規制になっていることを向井氏は指摘する。

 そこで商用ドローンについては、ある空域のあるルートだけを物流ドローンが飛ぶようにする「空の道」構想がある。これが実現できれば、ドローン物流は前進する。楽天としては、国の分科会などで提言を引き続き行っていく構えだ。

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