「直接部下の顔をみて褒める」が重要!?…上司・部下のコミュニケーションギャップ
2017年2月11日

会社で部下や上司とのコミュニケーションは、円滑に取れているだろうか?
普段から意識していても、毎日の業務に追われてなかなか自分のコミュニケーションを客観的に見ることは難しい。
企業組織の中で、非常に重要視されるコミュニケーションについて、クラウド人材管理ツール『カオナビ』を提供する株式会社カオナビとパブリックスピーキング及びPRのコンサルティングを手掛ける株式会社グローコムがそれぞれ調査を実施した。経営層・管理職の立場なら、部下のモチベーションを維持・向上させ、マネジメントしていく必要があるが、上司と部下の意識ギャップについて興味深い結果がみられた。[提供:経営プロ]
社員の仕事のモチベーションが高まるきっかけ
仕事のモチベーションが高まるときについて一般社員の回答の中で最も多かったのは「給料がアップした」が53.6%、「お客様にありがとうといわれた」が52.2%と、いずれも半数以上の回答結果になった。昇給などの「金銭的報酬」だけでなく、他人から感謝されたり褒められたりする「社会的報酬」も仕事のモチベーションとなっていることがうかがえる。
また、「社長や上司から直接名前を呼んでもらって仕事の成果をほめられた」が33.0%、「同僚に感謝された」が31.8%と社内からの具体的な評価に対しても大きな割合を占めていた。
この結果を受けて、部下のモチベーションをアップには、昇給や昇格に加え、「褒める」「評価される」ということが、大切だといえそうだ。
部下のねぎらいと名前の不一致
経営者・役員、管理職に対して、「部下が仕事上の成果を上げた時に、どのようにして部下の労をねぎらいますか?」と質問に対して8割以上が「直接声をかけて顔を見てほめる」と回答した。
このような回答の一方で「勤務先の部下の顔と名前が一致しないことがありますか?」との質問に対しては6割近くが「ある」と回答している。
部下の顔と名前が一致しない結果、直接褒めることができない(褒めてもらうことができない)可能性があることを示唆しており、実際に名前がわからなかったことで、名前で呼ぶことができず気まずい思いをしたり、人物評価関連資料を確認する際に具体的に人物を思い浮かべることができないという声も調査回答には寄せられている。従業員規模や組織体制など様々な潜在要因が推測されるが、しっかりとした評価・声掛けを怠ることで、部下の成長を妨げてしまうだけでなく、上司としての威厳や魅力の低下や組織の弱体化など影響が大きいことを認識しておく必要がありそうだ。
「褒め力不足」上司のコミュニケーション力
そうした“褒められ不足”を表した気になる調査データがある。株式会社グローコムが、社員約1000人を対象とした「コミュニケーション力」の調査を実施、「褒める力」の重要性が浮き彫りとなった。
回答結果では多くの社員は、上司に褒められたいという気持ちがあるのに対し、実際に褒めてくれる上司は全体の4割程度と、非常に少ない割合ということが判明した。
特に年齢が上がるにつれて、部下に対する評価が辛口になりやすく、褒められていないと感じている部下が多いようだ。
部下が考える上司のコミュニケーション力の問題点として「やる気を鼓舞されない」が約3割、「いっていることが理解できない」が2割弱、「一方的に話す」が2割弱という回答になり、上司と円滑なコミュニケーションが取れていない、という意見が多く見られた。
また上司に求めるコミュニケーション力としては「きちんとしたフィードバックをしてほしい」が2割強、「わかりやすく伝えてほしい」が2割半、「双方向での対話をしてほしい」が2割弱と上司の問題点を反映した結果となった。
褒めてくれる上司を持つ割合の調査では、男女で差があることも判明した。
ほめる上司を持つ20代男性が4割弱に対して、20代女性は約6割と女性の方が褒められていることが判明した。
また年齢によっても違いがあるようで、若年層の方が褒められる割合が多いのに対し、40代男性は2割強しか褒められていない、という結果となっている。
声かけで上司と部下のギャップを解消
これらの調査から、上司と部下の「褒める」ことに対する認識にギャップが生じているといえる。
部下の仕事のモチベーション向上のためには、昇給などの金銭的報酬に加え、「上司から褒められる」といった「社会的報酬」が重要であるため、上司はその重要性について学び、自己の「褒める力」を伸ばす必要がある。
また、部下が求める上司とのコミュニケーションは、一方的なものではなく丁寧で双方向のものだと、知っておくことも重要なポイントといえよう。
加えて、部下を褒める際には表面的な結果だけではなく、目に見えないプロセスや仕事に対する姿勢などにも声をかけて、積極的に褒める(評価する)ことが部下のモチベーションの維持・向上に繋がる。
部下の能力を引き出すことは、上司としての重要な務めだろう。
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