マネジメント

 昨年9月に開幕したプロバスケットボールのBリーグ。高いエンタメ性とアリーナ文化は、日本のスポーツ界にどんな風を吹かせるのか。大河正明チェアマンに話を聞いた。

女性の支持理由はアリーナ

20170307OHKAWA_P01

(おおかわ・まさあき)1958年生まれ。京都大学を卒業後、三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。95年、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に出向。その後、銀行に戻り、鎌倉支店長、町田支店長を務める。2010年、日本プロサッカーリーグに入社。常務理事などを務め、15年、日本バスケットボール協会専務理事、事務総長に就任(現在は、副会長)。16年より、ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ理事長を務めている。

―― 開幕から5カ月たちました。手ごたえは。

大河 2015年10月、Bリーグが発足した頃の認知率は41%でしたが、ちょうど1年後、開幕直後にはプロモーションの成果もあり、65%にまで上昇しています。今年の10月にも調査を行う予定ですから、どこまで認知が広がるか楽しみですね。入場者数についても、これまでに比べて、1部であるB1では、一試合平均で1.3倍から1.4倍に増えています。3割、4割増えていることを考えれば、十分な成功と言えるのではないでしょうか。

―― ソフトバンクがトップパートナーになったことでインターネット配信も始まりました。

大河 ソフトバンクグループであるスポナビライブで、全試合生中継を行います。今まで、欧米のスポーツビジネスと比較するといちばんの差は放映権でした。まだまだ差はありますが、それでも地上波放送以外の放映権ビジネスの日本でのきっかけになったのかなと思っています。

―― Bリーグは女性に人気が高いそうですね。

大河 スマートフォンでBリーグのチケットを購入していただいているのですが、そのデータをみると、20代、30代の女性層に多く来ていただいています。ざっくりいえば半数近くが女性です。要因としてはコートの間近で見られて、選手とハイタッチができる、といった臨場感や迫力といった面が伝わりやすいのでしょう。アリーナですから、雨に降られたり、日焼けしたりする心配がないというのも女性人気の要因でしょうね。また、アリーナはスタジアムに比べるとコンパクトですから、光や音、映像といったコンサート会場のような迫力ある演出が可能で、クラブによっては、吊りビジョンでリプレーなどの映像を使ってエンタメ性を高めています。

―― 先ほど、スマホチケットの話も出ましたが、デジタル化を進めていますね。

大河 一番の目的は、お客さまのデータが分かるということです。もちろん、個人情報には気を付けねばなりませんが、BtoC産業ですから顧客データの蓄積はある意味、一丁目一番地。でも、リーグとして統一感をもって実施しているところはプロスポーツ界では初の試みだと思います。スマホさえあればチケットはいらず、再入場もできますし、自分がどの試合を観たかも分かる。時代を変えるブレーク・ザ・ボーダーのひとつだととらえています。

さらなる発展のカギは日本代表の強化

―― アリーナの活用も発展のカギですね。

大河 今まで、プロの興行を行う時でもスリッパに履き替えなければ観られないとか、ビールが飲めないなど規制がいっぱいありました。それは体育館という競技者のための施設で、観る人の施設ではなかったからです。スポーツ産業自体が大きくなっていくには施設も生まれ変わる必要があります。もちろん、スポーツをする体育館はあっていいのですが、プロの興行は観戦スポーツですから、観ることを優先させることが大事です。既に、沖縄では1万人規模のアリーナ建設が決まり、国体がらみですが栃木、水戸でも建設が予定されています。

―― クラブの経営安定化のためにもアリーナの一体経営が必要ではという声もあります。

大河 アリーナの経営については今後の課題だと思います。少なくとも、行政の資金でつくるアリーナは公設ですから、まずは指定管理業務を取ることが重要です。また、建設するにしてもスポーツ施設だけでなく、防災拠点と考えれば、地域住民の理解を得られやすいのではないかと考えています。

―― 課題は何ですか。

大河 Bリーグの認知率は41%から65%まで上昇していますが、観戦意向に関しては認知率ほど上がっていません。皆さん、田臥勇太選手(リンク栃木ブレックス所属)は知っていますが、どこのチームかはご存じない。これは、人気のチームや人気の選手が少ないことが原因です。やはり、人気のチームやスターは必要です。こうした課題を解決するには、Bリーグの発展はもちろんですが、日本代表の強化も欠かせません。リーグも全面的に代表の強化に協力し、課題の克服につなげていきたいと考えています。

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件に学ぶ 不祥事対応のプリンシプル

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

「ブラック企業」という評価の考察

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年12月号
[特集]
平成 ランキングで振り返る“時代”の経営者

  • ・バブル破裂で顔ぶれ一新 平成人気経営者の系譜
  • ・次の時代を創るリーダーとは?

[Special Interview]

 榊原定征(2025日本万国博覧会誘致委員会会長)

 「誘致決定まで1カ月 大阪万博を日本経済の起爆剤に」

[NEWS REPORT]

◆コンビニ軽減税率適用で激化する「外食VS中食」の戦い

◆「液晶のシャープ」が有機ELスマホを発売 初の国産パネルで攻勢をかける

◆「世界一高い」と認定された日本の携帯料金のこれから

◆チャネル政策を見直すトヨタ自動車の危機感

[特集2]

 北海道・新時代の幕開け

ページ上部へ戻る