マネジメント

昨年9月に開幕したプロバスケットボールのBリーグ。高いエンタメ性とアリーナ文化は、日本のスポーツ界にどんな風を吹かせるのか。大河正明チェアマンに話を聞いた。

大河正明・Bリーグチェアマンプロフィール

(おおかわ・まさあき)1958年生まれ。京都大学を卒業後、三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。95年、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に出向。その後、銀行に戻り、鎌倉支店長、町田支店長を務める。2010年、日本プロサッカーリーグに入社。常務理事などを務め、15年、日本バスケットボール協会専務理事、事務総長に就任(現在は、副会長)。16年より、ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ理事長を務めている。

 

Bリーグが女性に支持された理由はアリーナ

 

―― 開幕から5カ月たちました。手ごたえは。

大河 2015年10月、Bリーグが発足した頃の認知率は41%でしたが、ちょうど1年後、開幕直後にはプロモーションの成果もあり、65%にまで上昇しています。今年の10月にも調査を行う予定ですから、どこまで認知が広がるか楽しみですね。入場者数についても、これまでに比べて、1部であるB1では、一試合平均で1.3倍から1.4倍に増えています。3割、4割増えていることを考えれば、十分な成功と言えるのではないでしょうか。

―― ソフトバンクがトップパートナーになったことでインターネット配信も始まりました。

大河 ソフトバンクグループであるスポナビライブで、全試合生中継を行います。今まで、欧米のスポーツビジネスと比較するといちばんの差は放映権でした。まだまだ差はありますが、それでも地上波放送以外の放映権ビジネスの日本でのきっかけになったのかなと思っています。

―― Bリーグは女性に人気が高いそうですね。

大河 スマートフォンでBリーグのチケットを購入していただいているのですが、そのデータをみると、20代、30代の女性層に多く来ていただいています。ざっくりいえば半数近くが女性です。

 要因としてはコートの間近で見られて、選手とハイタッチができる、といった臨場感や迫力といった面が伝わりやすいのでしょう。アリーナですから、雨に降られたり、日焼けしたりする心配がないというのも女性人気の要因でしょうね。

 また、アリーナはスタジアムに比べるとコンパクトですから、光や音、映像といったコンサート会場のような迫力ある演出が可能で、クラブによっては、吊りビジョンでリプレーなどの映像を使ってエンタメ性を高めています。

―― 先ほど、スマホチケットの話も出ましたが、デジタル化を進めていますね。

大河 一番の目的は、お客さまのデータが分かるということです。もちろん、個人情報には気を付けねばなりませんが、BtoC産業ですから顧客データの蓄積はある意味、一丁目一番地。

 でも、リーグとして統一感をもって実施しているところはプロスポーツ界では初の試みだと思います。スマホさえあればチケットはいらず、再入場もできますし、自分がどの試合を観たかも分かる。時代を変えるブレーク・ザ・ボーダーのひとつだととらえています。

 

Bリーグのさらなる発展のカギは日本代表の強化

 

―― アリーナの活用も発展のカギですね。

大河 今まで、プロの興行を行う時でもスリッパに履き替えなければ観られないとか、ビールが飲めないなど規制がいっぱいありました。それは体育館という競技者のための施設で、観る人の施設ではなかったからです。スポーツ産業自体が大きくなっていくには施設も生まれ変わる必要があります。

 もちろん、スポーツをする体育館はあっていいのですが、プロの興行は観戦スポーツですから、観ることを優先させることが大事です。既に、沖縄では1万人規模のアリーナ建設が決まり、国体がらみですが栃木、水戸でも建設が予定されています。

―― クラブの経営安定化のためにもアリーナの一体経営が必要ではという声もあります。

大河 アリーナの経営については今後の課題だと思います。少なくとも、行政の資金でつくるアリーナは公設ですから、まずは指定管理業務を取ることが重要です。また、建設するにしてもスポーツ施設だけでなく、防災拠点と考えれば、地域住民の理解を得られやすいのではないかと考えています。

―― 課題は何ですか。

大河 Bリーグの認知率は41%から65%まで上昇していますが、観戦意向に関しては認知率ほど上がっていません。皆さん、田臥勇太選手(リンク栃木ブレックス所属)は知っていますが、どこのチームかはご存じない。これは、人気のチームや人気の選手が少ないことが原因です。やはり、人気のチームやスターは必要です。

 こうした課題を解決するには、Bリーグの発展はもちろんですが、日本代表の強化も欠かせません。リーグも全面的に代表の強化に協力し、課題の克服につなげていきたいと考えています。

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