政治・経済

20170321原発 経営再建中の東芝が打ち出した原発事業の縮小方針に政府が警戒感を強めている。日本の原子力政策を支えてきた東芝が手を引けば、東京電力福島第1原発の廃炉や、成長戦略の柱であるインフラ輸出戦略への悪影響が避けられない。ただ、経営陣の危機感の乏しさが招いた危機だけに、救済には慎重な声もある。

 「国内の原子力事業、特に廃炉汚染水対策にも関係している企業だ。今後の対応をしっかり注視したい」

 世耕弘成経済産業相は2月14日の記者会見で、東芝の経営問題に懸念を示した。

 東芝は事故を起こした福島第1原発3号機の原子炉を製造した。現在も、汚染水から放射性物質を取り除く装置や原発内部を調べるロボットなどを納入している。今後本格化する溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を取り出す作業でも中核を担う。

 また、巨額損失の原因となった米原子力子会社のウェスチングハウスは、海外で数多くの新規建設案件を抱えている。約30年ぶりに原発新設に舵を切った英国のムーアサイド原発について、日英両政府が昨年12月に結んだ原子力分野での覚書には、東芝傘下のニュージェネレーションが英中部ムーアサイドで計画する原発が具体的な対象として明記された。加えて、中国やインドなど経済成長を背景に電力需要が増加する新興国でも新設を計画している。

 原発輸出は「日本の質の高いインフラ」(世耕氏)を海外に売り込みたい政府の肝いり事業だ。昨年12月に英政府と原子力分野の協力を進める覚書を結ぶなど支援しているだけに、東芝が海外の新規受注を事実上凍結したのは痛手になる。

 政府が最も恐れるのは、東芝の原発撤退という「最悪」のシナリオ。技術者の流出が加速し技術基盤の維持が困難になりかねない。

 ただ、経産省幹部は「経営判断のミスが原因では、国が表立って支援できない」と漏らす。分社化する半導体事業には日本政策投資銀行の出資案が出たものの、原発事業の支援は当面難しいとの見方が強い。

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