政治・経済

20170307NHK 総務省とNHK、民放が放送番組のインターネット同時配信サービスをめぐり三つ巴のバトルを始めた。早期の同時配信を目指すNHKに対し、本格的な同時配信に踏み切りにくい民放各社は「格差が拡大する」と反発。総務省はNHKに待ったをかける一方、民放の同時配信参入を促したい考え。一部全国紙が1面トップで「2019年に同時配信全面解禁」とミスリード記事を飛ばすなどメディアの取材競争も激しさを増している。

 NHKにとって心強いのが、何かとお騒がせだった籾井勝人氏に代わって会長に就任した上田良一・三菱商事元副社長の存在だ。良識派で知られNHKの経営も長年見てきた上田氏が会長になるや、前年度はすったもんだで難産だったNHK予算がすんなり国会を通過。その上田氏が同時配信に前のめりなことで、NHK幹部は情勢の好転を期待している。

 上田会長は3月2日の定例記者会見で、常時テレビ番組を同時に視聴できる同時配信について「喫緊の課題だ」と強調し、実現に向けて取り組む意欲を見せた。上田会長は今年策定する次期経営計画に、常時同時配信のコスト見通しなどを盛り込む考え。民放からはNHKの肥大化を懸念する声が強まっているが、上田会長は民放各社のトップと積極的に面談しているようで「民放とは継続的に意思疎通をはかって、信頼関係を構築することが大事だ」と話し、懐柔策で民放の批判を押さえ込みたい考えだ。

 総務省は「NHK肥大化」の批判をかわすため、まず民放の同時配信環境の整備に取り組みたい考え。昨秋から有識者会議で課題の検討を進めており、18年度には答申する見通しだ。制度上の足かせがない民放だが、番組の著作権問題やシステム構築コスト、さらに系列局の経営問題まで課題が山積のため、同時配信サービスはテレビ東京や東京MXなどが一部で提供している程度。トップ自ら旗を振って、同時配信の実現に突き進むNHKとの温度差は歴然だ。

 NHKに待ったをかける総務省も、民放の体たらくをみるにつけ、「(現在、災害情報などに限定している)放送の枠を一部通常番組に広げて同時配信をリードさせる手もある」(総務省幹部)という“妙案”も聞こえてくるほど。その裏には、英国など海外では同時配信が放送の一部として普通にサービスされており、このままではネット放送環境の後進国になりかねないとの焦りがあるようだ。

 

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