国際

なぜ日本人は失敗するのか

ChiekoEggedDSC_3145

(いげっと・ちえこ)(Beauti Therapy LLC社長)。大学卒業後、外資系企業勤務を経てネイルサロンを開業。14年前にハワイに移住し、5年前に起業。敏感肌専門のエステサロン、化粧品会社、美容スクール、通販サイト経営、セミナー、講演活動、教育移住コンサルタントなどをしながら世界を周り、バイリンガルの子供を国際ビジネスマンに育成中。

 「いつかは海外で起業したい」

 経営者ならずともそんな夢を描くビジネスパーソンは増えている。また、本人の意思でなくても、海外赴任を突然命じられるケースも今や珍しくない。経済のグローバル化が加速する中、世界中どこでも仕事ができる能力が、今後ますます求められるようになりそうだ。

 では、海外で成功するためには何が重要なのか。真っ先に思い浮かぶのは語学力かもしれない。だが、たとえ英語をネイティブ並みに話すことができ、優れた商品・サービスが揃っていたとしても、それだけで上手くいくとは限らない。

 そのことを身を持って知っているのがイゲット千恵子さんである。イゲットさんは25歳の時に日本でネイルサロンを開業。後に結婚して一児を授かるも離婚、さらに大病を患って仕事ができなくなるという苦難を味わった。そこで、療養を兼ねて息子と渡ったハワイに移住を決意する。

 この決断が転機となり、ハワイでアメリカ人男性と再婚、自らは敏感肌専門のエステサロンを立ち上げ成功を収めている。現在はそれ以外にも、化粧品会社、美容スクール、通販サイトの運営など、幅広く事業を展開している。

[セミナー開催]イゲット千恵子の世界で稼げる子の育て方

 ハワイでの起業環境について、日本との違いをイゲットさんはこう語る。

 「日本で起業した時はテナントを借りるのにも非常に苦労しましたし、銀行も簡単にはお金を貸してくれませんでした。ハワイではスモールビジネスでも比較的融資は受けやすいし、才能や能力があれば投資家がついてくれます。特に女性の場合、優遇を受けやすい法制度が整っていて、弱い者にもチャンスがあるんです」

 そんな環境に目を付け、あるいは憧れもあって、ハワイで起業する日本人は年々増えているという。だが、現実にはその大半が1年以内に撤退している。 

 大きな理由としてイゲットさんが指摘するのは、現地における人脈づくりの失敗だ。

 「アメリカは移民の国で、あらゆる場面で誰からの紹介かということが非常に重要になりますから、ポッと行ってビジネスをしようとしても難しい。特に男性は日本人同士のコミュニティに留まってしまうことが多いので、ビジネスに広がりが生まれにくいんです。でも、海外で起業するなら、先に現地の人脈を作ってからビジネスを始めたほうが、広告を打つより何倍も効果があります」

 では、一体どんな方法で人脈構築を行えばよいのだろうか。

 妻と子どもを「戦略的に活用」

  日本人が海外で人脈を作る方法として、イゲットさんが提案するのが「妻と子どもの戦略的な活用」だ。

 一般的に女性は男性に比べてコミュニケーションが上手く、コミュニティを広げる能力に長けている。子どもが学校に通うようになれば、子どもを通じて親同士のコミュニティに参加することもできる。特にハワイの場合は、日本と違ってお金に対する考え方やIT、タイムマネジメントなど、経営感覚を鍛える教育が行われており、海外富裕層の子息も数多く通っている。

 こうした良質なコミュニティに参加することが、ビジネスに必要な人脈づくりに有効なのだという。イゲットさんの場合も、夫や子どもを通じたネットワークを、自身の事業に大いに役立てている。その成功体験から実感した教育移住のメリットは、子を持つ女性のみならず、男性にも大いに参考になりそうだ。

 「奥さんが英語ができて社交的であれば、そのネットワークを使って人脈を広げることができます。日本企業が男性社員を海外に赴任させるときでも、先に奥さんと子供に現地で生活基盤を築いてもらい、後から社員を合流させるほうが良いでしょう。例えば企業が海外赴任者を選ぶときは『奥さんが賢いかどうか』で決めるべきでしょうね」

 アメリカはレディーファーストの国であるため、イゲットさん自身もアメリカ人の夫と行動するときは常に前を歩かされたという。パーティなどでは自分次第で夫の行動も座る場所も決まってしまうので、女性がどう行動できるかが、非常に重要なのだという。

 海外起業や教育移住に関するイゲットさんの豊富なノウハウは、著書『経営者を育てるハワイの親 労働者を育てる日本の親』(経済界)でさらに詳しく紹介されている。関連セミナーは、4月11日に東京、4月14日大阪で開催される予定だ。

イゲットさん表紙出版記念セミナー開催決定!

「ハワイ起業家イゲット千恵子の世界で稼げる子の育て方」

お申し込みはこちらから

 

 

 

 

 

 
経済界 電子雑誌版のご購入はこちら!
雑誌の紙面がそのままタブレットやスマートフォンで読める!
電子雑誌版は毎月25日発売です
Amazon Kindleストア
楽天kobo
honto
MAGASTORE
ebookjapan
 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

グローバルニュースの深層

一覧へ

習近平政権下の中国経済と新時代の到来

[連載] グローバルニュースの深層

グローバルニュースの深層

[連載] グローバルニュースの深層

原油事情に関するロシアの分析

[連載] グローバルニュースの深層

プーチン露大統領の内外記者会見

[連載] グローバルニュースの深層

中間選挙後の米国を展望する

[連載] グローバルニュースの深層

中国を制するものは世界を制す

変貌するアジア

一覧へ

鴻海によるシャープ買収のもう1つの狙い

[連載]変貌するアジア(第37回)

変貌するアジア

[連載]変貌するアジア(第36回)

SDRの一翼を担う人民元への不安

[連載]変貌するアジア(第33回)

開催意義不明の日中韓首脳会議

[連載]変貌するアジア(第32回)

朱立倫の総統選出馬と台湾海峡危機

津山恵子のニューヨークレポート

一覧へ
無農薬野菜

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第20回)

CESの姿が変わる花形家電よりもネットワークに

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第19回)

米・キューバ国交回復のインパクト

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第18回)

クリスマス商戦に異変! 店舗買いが消え行く

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第17回)

格差問題が深刻化する米国―教育の機会格差解消にNY市が動き出す

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次なるステージを駆け上がる日本電子「70年目の転進」–日本電子

 最先端の分析機器・理科学機器の製造・販売・開発研究等を手掛ける日本電子(JEOL)は、ノーベル賞受賞者を含むトップサイエンティストや研究機関を顧客に、世界の科学技術振興を支えてきた。足元の業績は2019年3月期で連結営業利益、同経常利益、同最終利益がいずれも過去最高を更新。かつては技術偏重による「儲からない…

独自開発のホテル基幹システムで業務効率化と顧客満足度を向上–ネットシスジャパン

逆転の発想で歴史に残る食パンを 生活に新しい食文化をもたらす–乃が美ホールディングス

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

森島寛晃・セレッソ大阪社長

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

非大卒就職マーケットの変革に挑む元教師の挑戦―永田謙介(スパーク社長)

日本企業の年功序列と終身雇用が崩壊に向かう中、制度を支えてきた大学生の新卒一括採用の是非もようやく議論されるようになってきた。一方、高校卒業後に就職する学生のための制度は旧態依然とし、変化の兆しがほとんど見えない。こうした現状を打ち破るべく、非大卒就職マーケットの改革に挑戦しているのがSpark(スパーク)社…

起業家にとって「志」が綺麗ごとではなく重要な理由―坂本憲彦(一般財団法人立志財団理事長)

勉強ノウハウと法律知識で企業の「働き方改革」を促進する―鬼頭政人(サイトビジット社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年5月号
[特集] 巻き込む力
  • ・高岡浩三(ネスレ日本社長兼CEO)
  • ・唐池恒二(九州旅客鉄道会長)
  • ・河野 仁(防衛大学校教授)
  • ・入山章栄(早稲田大学大学院・ビジネススクール教授)
  • ・出口治明(立命館アジア太平洋大学学長)
  • ・中竹竜二(日本ラグビーフットボール協会理事)
  • ・時代も国境も超えた普遍のリーダーシップを学べるベストブックス
[Special Interview]

 小林喜光(三菱ケミカルホールディングス会長)

 イノベーションを起こすために「人間とは何か」を問う

[NEWS REPORT]

◆零細企業でも活用できるインターネットM&A最前線

◆業界再編はあるのか 日本製鉄、巻き返しへの一手

◆技術研究所を解体してホンダは何を目指すのか

◆新型コロナウイルス治療薬 なぜ日本企業は創れないのか

[特集2]

 経営者に贈る「イロとカネの危機管理」

ページ上部へ戻る