政治・経済

医療・介護はブーム

 SMBC以外のほかの金融機関もREIT上場に限らずヘルスケア分野への取り組みを強化している。金融業界でも医療・介護分野を〝成長分野〟と見る向きが多い。

 ある金融業界関係者は「業界内でも医療・介護分野の融資を伸ばすことがブームになっている」と率直な見方を示す。今後の大きな需要増が見込まれる数少ない分野に積極的に取り組んでいるところだ。

 個人投資家を巻き込んだヘルスケアREITへの取り組みは他行でも動き出している。新生銀行では、ヘルスケアREIT上場の目標は15年とSMBCの計画よりも遅いが、非上場型のヘルスケアファンドに対して資金を提供する取り組みを展開。

 同行によると、この資金提供は不動産の価値だけ返済責任を負うノンリコースローンを通じて行われたもので、こうした「個人投資家が加われるファンドへの融資実績は現在2件」(広報担当者)ある。融資額はそれぞれ10億600万円と5億7千万円となり、合計では既に15億7600万円に上るという。

 医療・介護分野が既に、成長を牽引する役目を果たしていることは、実績としても表れている。

 前出の金融業界関係者は、「医療・福祉分野を専門的に担当する部門の融資はここしばらく伸び続けている。ほかの分野の融資残高の伸び率は数%しかないが、医療・福祉分野の融資残高の伸び率は約10%だ」と解説する。

 医療・介護施設の整備には社会的にも重要な意義がある。ベビーブーマーが高齢者になり、高齢者人口のさらなる急激な増加が見込まれる15年以降にも国民に住居をきちんと提供する意味で、社会的影響力が大きいからだ。

 SMBC企業調査部の吾郷圭子氏も、「ヘルスケアREITが増加し、市場に浸透すれば、成長分野と目される医療・介護分野に新たな資金を呼び込むことになり、社会的な意義は大きいとみられる」と社会保障を充実させるにあたっての、ヘルスケアREIT整備の意義を強調する。

 42年のピーク時には高齢者人口は3863万人に達するとされる。これらの層に有料老人ホームやサ高住といった医療・介護施設を供給するためのファイナンスの仕組みは、まだまだ拡充が必要だ。しかし、一方で金融機関による医療・介護分野への集中的な取り組みの動きはまだ活発とは言えない。

 SMBCのヘルスケアREIT上場に向けた準備はその1つだが、それだけで医療・介護施設の需要すべてを賄うには不十分だ。潜在需要をうまく掘り起こしつつ、儲けを回収していくスキーム作りも課題だろう。

(本誌/宮崎二郎)

 

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