文化・ライフ

お金は、血液みたいなもの。循環させなくては意味がない

201706_TAKASU_P002

『行ったり来たり 僕の札束』 著者 高須克弥

 本の題名からして、お金儲けの仕方が書いてあると思って手に取ると、肩透かしを食うはずだ。僕はお金儲けをしようと思ったことはないし、やりたいことをやったらお金が入ってきたというとムカつく人がいるだろうが、事実だ。それをそのままこの本で書いた。

 江戸時代から続く医者の家に生まれて、家業を継ぐために医者になった。ドイツ留学で学んだ最先端の整形外科技術で開業したが、経営難に陥ってしまう。「骨折を一週間で治しても誰も喜びませんよ。半年入院するような普通のやり方でやってもらえませんか。下手な医者のほうが売り上げが上がるのは誰でも知っています」と事務長に言われ、頭にきて保険診療をやめ、40年前に自費診療の「高須クリニック」を開業して大流行りになった。

 以来、二重瞼手術、脂肪吸引などいろいろブームを巻き起こしてきたが、一番やっていたのは「包茎手術」。レーザーメスで焼き切るのだが、1日に何百人もやったので、火災報知機が鳴ったこともあった。

 僕が美容外科として働くのは週2日だけ。他の日は愛知県にある高須病院の理事長として、老人介護に軸足を置く地域医療を実践している。すべて保険診療だが、理想の医療を目指すほど、人件費がかさみ、赤字になる。美容整形の儲けを病院につぎ込んでいるからこそ、倒産せずに続けられている。

 僕にとってのお金は、血液みたいなもの。生きていくには、どんどん循環させる必要があるが、使わない血液がたくさんあってもしょうがない。高須クリニックの売り上げが東京・横浜・名古屋・大阪で合計約60億円。僕は肉体労働者だから働けばお金が入ってくる。バブル崩壊で背負った借金100億円も10年で返済した。

 僕の頭髪は植毛だし、歯も人工。その印として歯にはダイヤモンドを入れている。腹筋が割れているのはエクササイズでできたものではなく、脂肪吸引の成果。患者さんに施術する前に、必ず自分自身の身体を使って手術や薬剤の安全性を試すのがポリシーだ。

 3人の息子には、ずっと前に高須グループの株などを譲った。遺産は何も遺さないと決めてある。東日本大震災が起きた年の8月、「高須克弥記念財団」を設立し、自分の稼いだお金は全部ここで使うことにした。あと数十億円、使い切って死ぬ。

たかす・かつや 1945年愛知県生まれ。昭和大学医学部卒業。同大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

認知症・徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

人材育成のコツ ~部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ~

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

「支持政党なし」をつくった男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

リーマンショック後の2010年にスタートした柳前社長時代は大幅な合理化や新興国戦略を推進。経営改革に道をつけ、17年度は過去最高益を更新した。日髙新社長は、事業企画・経営企画や2輪事業の経験と豊富な海外経験を買われてバトンを受けた。売上高の約9割を海外が占めるヤマハ発動機のトップとして、改革路線を継続しつつ成…

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年11月号
[特集]
大丈夫? 御社の危機管理

  • ・サイバーセキュリティ後進国日本の個人情報流出事件簿
  • ・「リアル」「バーチャル」双方で企業を守るセコムとアルソック
  • ・南海トラフ地震、首都直下型地震は、今そこにある危機
  • ・「いつ来るか分からない」では済まされない──中小企業の事業継続計画
  • ・黒部市に本社機能の一部を移転したBCPともう一つの狙い(YKKグループ)
  • ・高まる危機管理広報の重要性 平時の対応がカギを握る

[Special Interview]

 大谷裕明(YKK社長)

 「企業の姿勢や行動が危機対策以上の備えになる」

[NEWS REPORT]

◆胆振東部地震で分かった観光立国ニッポンの課題

◆M&Aでさらなる成長を期すルネサスの勢いは本物か

◆トヨタは2割増、スズキは撤退 中国自動車市場の明暗

◆このままでは2月に資金ショート 崖っぷち大塚家具「再生のシナリオ」

[特集2]

 利益を伸ばす健康経営

ページ上部へ戻る