[インタビュー]
「あと数十億円、使い切って死ぬ」 高須克弥院長の「お金の哲学」
2017年5月11日

お金は、血液みたいなもの。循環させなくては意味がない
本の題名からして、お金儲けの仕方が書いてあると思って手に取ると、肩透かしを食うはずだ。僕はお金儲けをしようと思ったことはないし、やりたいことをやったらお金が入ってきたというとムカつく人がいるだろうが、事実だ。それをそのままこの本で書いた。
江戸時代から続く医者の家に生まれて、家業を継ぐために医者になった。ドイツ留学で学んだ最先端の整形外科技術で開業したが、経営難に陥ってしまう。「骨折を一週間で治しても誰も喜びませんよ。半年入院するような普通のやり方でやってもらえませんか。下手な医者のほうが売り上げが上がるのは誰でも知っています」と事務長に言われ、頭にきて保険診療をやめ、40年前に自費診療の「高須クリニック」を開業して大流行りになった。
以来、二重瞼手術、脂肪吸引などいろいろブームを巻き起こしてきたが、一番やっていたのは「包茎手術」。レーザーメスで焼き切るのだが、1日に何百人もやったので、火災報知機が鳴ったこともあった。
僕が美容外科として働くのは週2日だけ。他の日は愛知県にある高須病院の理事長として、老人介護に軸足を置く地域医療を実践している。すべて保険診療だが、理想の医療を目指すほど、人件費がかさみ、赤字になる。美容整形の儲けを病院につぎ込んでいるからこそ、倒産せずに続けられている。
僕にとってのお金は、血液みたいなもの。生きていくには、どんどん循環させる必要があるが、使わない血液がたくさんあってもしょうがない。高須クリニックの売り上げが東京・横浜・名古屋・大阪で合計約60億円。僕は肉体労働者だから働けばお金が入ってくる。バブル崩壊で背負った借金100億円も10年で返済した。
僕の頭髪は植毛だし、歯も人工。その印として歯にはダイヤモンドを入れている。腹筋が割れているのはエクササイズでできたものではなく、脂肪吸引の成果。患者さんに施術する前に、必ず自分自身の身体を使って手術や薬剤の安全性を試すのがポリシーだ。
3人の息子には、ずっと前に高須グループの株などを譲った。遺産は何も遺さないと決めてある。東日本大震災が起きた年の8月、「高須克弥記念財団」を設立し、自分の稼いだお金は全部ここで使うことにした。あと数十億円、使い切って死ぬ。
たかす・かつや 1945年愛知県生まれ。昭和大学医学部卒業。同大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。
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