政治・経済

201707自動運転

 ドライバーが運転に関与しない完全自動運転車が交通事故を起こした場合の賠償責任の在り方について、国土交通省の有識者会議が4月下旬の論点整理で、システムの欠陥が原因で事故が発生した際には、保険会社だけでなく自動車メーカーも費用を負担するなどの案を示した。自動運転における重要論点の方向性を示し、公道実験などの取り組みを加速させる。

 自動運転をめぐっては、アクセルやブレーキなどの複数の操作を自動で行う乗用車などが市販化されている。政府は2025年をめどにドライバーが操作に関与せず、システムに委ねる完全自動運転の実用化を目指しており、必要な法整備を進めている。

 中でも重要論点とされていたのが、この事故時の責任の所在だ。現行の自動車損害賠償保障法では原則、車の持ち主や運転者の責任となっているが、完全自動運転車ではシステムの誤動作やハッキングも事故原因になり得るため、運転者らに責任を問うことが難しいケースも想定される。

 会議で示されたのは、システム欠陥による事故に関しては、①責任主体をドライバーや運送事業者とする基本的な枠組みは維持しつつ、事故原因の調査体制を充実させ、ドライバーがメーカーに負担を求めやすくする②メーカーが保険料や基金などの形であらかじめ一定の負担をする③メーカーが事実上の無過失責任を負担する――の3案。今年度中に1案に絞り込む。

 またハッキングなどで自動運転システムが外部から乗っ取られて事故が起きた場合は、盗難車による事故と同様のケースとみなし、ひき逃げや無保険車による事故被害者の損害を補填する政府保障事業の対象とする方向で検討する。

 今回の論点整理はたたき台にすぎないが、完全自動運転を見据えてメーカー各社が開発競争にしのぎを削る中、将来の方向性を示した意義は大きい。先進各国は自動運転技術の国際標準化で主導権争いを繰り広げており、政府は開発促進に向けた法整備を急ぐ。

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