政治・経済

 総務省が、またしてもMVNO(仮想移動体通信事業者)支援に乗り出した。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯電話大手3社の2016年度分のパケット接続料の引き下げを“指導”し、MVNOの回線利用料負担の軽減を図ることで値下げを推進。格安スマートフォンのいっそうの普及を狙うものだ。

 値下げ幅は、前年度比で、NTTドコモが14%減、KDDIが10.6%減、ソフトバンクが17.6%減だ。しかし、既に500社を超えたMVNO業界では値下げ競争や不当表示など過当競争による弊害が出ており、「接続料値下げがユーザー料金の値下げに結び付くかは疑問」(中堅MVNO幹部)と冷ややかな見方が少なくない。

 格安スマホを提供するMVNOは携帯各社のネットワークに接続し、基地局から発信される無線を借りて自社の契約者にサービスを提供している。携帯3社が今回値下げに踏み切ったパケット接続料は、MVNOが携帯各社に支払う、いわば「卸料金」のことだ。パケット接続料はサービス料金に直接反映する「コスト」のため、接続料の値下げはMVNOのコスト負担を軽減することになる。

 高市早苗総務相は「料金を値下げして、安く通信サービスを使っていただくことと、サービスの充実につながる」と接続料値下げの効果に期待を寄せる。総務省はこれまでも接続料を引き下げさせるために、回線接続の義務化や算出方法の見直しなど携帯各社に圧力をかけてきた。MVNOが主力事業にすえる格安スマホ販売が拡大することでスマホ市場全体の料金低廉化を図ろうとしてきた。

 しかし、有象無象の参入業者がひしめくMVNO業界は過当競争の渦中で喘いでいる。“業界最速”や“最安値”“満足度ナンバーワン”などを掲げて契約獲得を狙う業者は後を絶たず、総務省は「フリーテル」ブランドで格安スマホを販売するプラスワン・マーケティング(東京都港区)に対して4月26日、合理的な根拠なく「『業界最速』の通信速度」などとうたっているとして行政指導し、適正な表示と再発防止策の徹底を求めた。

 あるMVNO首脳は「接続料の値下げは歓迎したいが、利益は出ていない状態なので、簡単に値下げ原資に回せないのが本音だ。黒字化を急ぎたいが、ユーザー獲得も急がないと勝ち残れないし、とても成長市場とはいえない」と厳しい市場環境に悲観的だ。値下げしても過当競争がさらに激しさを増せば、契約数を増やすのは容易ではない。MVNOは、大手3社をターゲットにしたスマホ市場全体の利用料低廉化施策の「当て馬」となっているのが現実かもしれない。

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