政治・経済

 2020年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化を目指す財政健全化目標について、維持すべきなのか後ろ倒しすべきなのか、議論が浮上している。政府中枢にいる内閣官房参与の藤井聡・京大大学院教授が「PB目標を撤回し、債務残高が国内総生産(GDP)に占める割合を減らすことを重視すべきだ」とネット上などで提言し、「政権中枢の意向なのか」と憶測を呼んでいるのだ。内閣府は来年6月ごろにまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」でPB目標の在り方を盛り込むとみられるが、今から議論の行方が注目される。

 PBは社会保障費といった政策的経費と税収との差額を指す数値。政策的経費が税収を上回る「PB赤字」になると国債を発行して補う「借金状態」になる。15年度時点のPB赤字は3兆4千億円。政府は20年度の黒字化を目指している。

 ただ、内閣府の試算によると20年度のPB赤字は8兆2千億円に膨らむ。円高で企業業績が悪化し税収が抑えられているためで、PB黒字化は厳しいとみられている。

 こんな中、藤井参与が主張するのはPB目標撤回だ。藤井参与が発表したものによると、PB改善に向け歳出削減や増税を行えば景気が冷えて税収が減り、財政が悪化する。むしろPB赤字を認めて財政支出を拡大し、成長を後押しすべきだという。目標として重視すべきは債務残高のGDP比を安定的に減らすこと。「PB黒字化」は手段にすぎず臨機応変に取り下げられるという。日本は低金利で債務拡大が抑えられる一方、GDPの成長が続いて債務残高の対GDP比が減っており、緊縮財政で成長を冷やすことは止めるべきだとする。安倍晋三首相もこうした考えに沿っているのか、国会答弁では、債務残高のGDP比削減を重視する考えを示し始めている。

 この問題は、19年10月の消費税増税の是非にも影響する。政府は財政問題にどう対峙すべきなのか難しい局面に立たされている。

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