文化・ライフ

今、なぜかバカ売れしている光触媒加工の“造花”

第11回画像1使用

「かわいい まあるい 光触媒 インテリア グリーン」

 いま、Amazonの観葉植物カテゴリーでナンバーワンの売上げなのが、植物ではなく、なんと造花。この現象を分析してヒットの秘訣をお教えします。

 人は、常に何かの言い訳を求めているということが、ヒット商品につながると経験で知っています。実は欲しいのだけれど、何らかの言い訳がないと後ろめたさが購買の邪魔をして、最後の一押しが足りなくて買えないという法則があるのです。

 癒し空間作りに貢献する造花についても、部屋や事務所に観葉植物を置きたいけれど、手間やレンタル代が非常にかかる。しかも、造花では怪しさやインチキ感が前面に出てしまうというマイナス面があります。

 その後ろめたさを、空間の空気を消臭・抗菌効果するという理屈を付与して払拭するのが、光触媒加工を施した造花です。たとえば、有限会社ダックが製造する「かわいい まあるい 光触媒 インテリア グリーン」は、お手入れ不要で、紫外線の力で化学反応が起き、有害物質を吸着分解するといいます。

 これは光触媒の商品であって、たまたま造花として売られているという言い訳を付与し、後ろめたさを見事に解消してあげたことによって、堂々と買えるというわけです。

 デザインも、昔の商品のようにいかにも嘘っぽいのではなく、本物と見間違えるほどのクオリティで作り上げられ、インテリアグリーンとしてもしっかりとしています。この点も買われる要素でしょう。

 さらに、あちこちに置けるように小型化して、種類は10数種類以上、価格も千円程度と抑えるなど、さまざまな工夫を凝らしていることが、大ヒットしにつながっていると推測できます。

光触媒の造花は「言い訳付与作戦」でヒットした典型例

第11回画像2使用 筆者は20年以上前の1992年に、伊藤園から“充実野菜”というヒット番付ランキングにも入った人参系初の野菜ジュースをつくった経験があります。カゴメ社の“野菜生活”より3年も前に企画開発したものですが、当初ターゲットとしていた働く人だけでなく、コンビニエンスストアで実際によく購入していたのは高校生でした。

 高校生からすると、普段食生活で不摂生しているために、充実野菜を飲んで解消しようという懺悔的な感覚で飲まれていたのです。何かを買う自分に対する言い訳があり、良いことにつながるならば、その時代には到底、売れないような商材やサービスであっても、後にリピートにもつながりロングヒットとなり得るのです。

 さまざまな業界で、マーケッターは同じように考えて商品かしていると開発を行っていると思いますが、光触媒の造花は、近年では「言い訳付与作戦」でヒットした典型例と言えるでしょう。家庭用でこれだけ売れているので、レンタル造花のコストに困っているオフィスなどに進出してさらに 広がるような気がします。

 消費者の潜在的なニーズを汲み取ってあげることがヒットの正体だという良い例ですし、2017年のヒット番付にもしかしたらランキングされるかもしれません。

※本連載の過去記事はこちらから

++++++++++++

(やまもと・やすひろ):ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役、ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、JT、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本製作。1年以上継続した商品を計算すると打率3割3分、マーケティング実績30年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や連載寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、英語著書『Stick Out~a ninja marketer~』(BVC)など。

 

【文化・ライフ】の記事一覧はこちら

 

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

認知症・徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

人材育成のコツ ~部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ~

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

家族葬のファミーユが目指す「生活者目線で故人に寄り添う」葬儀の形

家族葬のファミーユは家族や親族など故人の近親者だけで施設を貸し切って行う「家族葬」のパイオニアだ。創業者・高見信光氏は異端児と言われながらも旧態依然とした業界を変えてきた。その思いに共感し、異業種のリクルートから転じて社長を引き継いだ中道康彰氏も業界の常識を打ち破るため奮闘している。文=榎本正義(『経済界』2…

不動産のノウハウや技術を生かしサステナブルインフラへ―いちご

次世代車向け先進技術を応用する日本発プラットフォーマー ―イーソル

新社長登場

一覧へ

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

アサヒグループ食品の副社長から、この3月にアサヒビールの社長に就任した塩澤賢一氏。長年、ビール営業畑を歩み、マーケティングを兼ねた繁華街歩きを趣味にしている。街の変化から世の中の流れを読む塩澤新社長が挑むのは低迷するビール市場の活性化。若者需要を伸ばしつつ、スポーツイベントを商機として攻勢をかけていく。聞き手…

塩澤賢一(アサヒビール社長)

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

イノベーターズ

一覧へ

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

起業家のスタンスとして、画期的な技術やビジネスモデルを社会で活かすことを目的としたイノベーション先行型もあれば、社会課題解決を最優先とし、そこに必要な技術やノウハウを当てはめていくやり方もある。ハックジャパンCEOの戸村光氏の場合は後者。対象となる課題は「身の周りの気付いたことすべて」だ。(取材・文=吉田浩)…

戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年10月号
[特集] 進撃のスタートアップ
  • ・スタートアップ・エコシステムの活性化
  • ・[スパイバー]2万5千円のTシャツは完売 実用化が迫った人工クモの糸
  • ・[Rhelixa]エピゲノム関連の研究・開発で人類の役に立つ
  • ・[チャレナジー]台風発電でエジソンになる ビジネス展開は「島」から
  • ・[エイシング]エッジで動く超軽量AIでリアルタイムに予測制御
  • ・[キャディ]製造業に調達革命! 町工場は赤字から脱出へ
  • ・[Clear]目指すは日本酒産業のリーディングカンパニー
  • ・[空]「値付け」の悩みを解決するホテル業界待望のサービス
  • ・宇宙ビジネスに民間の力 地球観測衛星やロボット開発
  • ・71歳で環境スタートアップを立ち上げた「プロ経営者」
[Special Interview]

 荻田敏宏(ホテルオークラ社長)

 「The Okura Tokyo」をショーケースに海外展開を進めていく

[NEWS REPORT]

◆戴正呉会長兼社長を直撃! なぜ、シャープは復活できたのか?

◆アスクル創業社長を退陣させた筆頭株主・ヤフーの焦り

◆サービス開始から3カ月で撤退 セブンペイ事件の背景にあるもの

◆絶滅危惧種ウナギの危機 イオンが挑むトレーサビリティ

[特集2]

 富裕層は知っている

・富裕層の最大の使い道は商品ではなく次代への投資

・シンガポールからケイマン諸島まで 資産フライトはここまで進化した

・年間授業料100万円超は当たり前 教育投資はローリスクハイリターン

・最先端の人間ドックは究極のリスクマネジメント

・家事代行サービスで家族との時間を有効活用

ページ上部へ戻る