文化・ライフ

自分の病気、寿命、才能は生活習慣が生命をコントロールし決めていた!

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ふじた・こういちろう 1939年旧満州生まれ。東京医科歯科大学卒業。東京大学医学系大学院修了、医学博士。金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。

 皆さんは自分の病気、寿命、才能などは、自身が持っている遺伝子によって決められていると思っていませんか。

 うちはがん家系だから……とあきらめるのは間違いです。例えばがんは、遺伝子が原因で発症する割合はたった5%で、あとの95%は生活習慣という環境の影響であり、それが本来の遺伝子を変化させ、がんになるかどうかを左右しています。

 寿命も病気にかかりやすいリスク遺伝子の有無で決定づけられるのではありません。ほとんどが食事や運動やストレスなどの環境が決めています。

 同様に自分の才能や能力までも、幼い時の親のかかわり方、成長後の自分の考え方が、各自の才能や能力を伸ばしたり縮めたりしているのです。

 2010年、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に、生活習慣病の危険因子が長寿に及ぼす影響を調べた論文が掲載されました。

 これは、100歳以上の約1700人の長寿者と若年群の全ゲノムを解析した研究です。これまで多くの病気は、生活習慣と遺伝的要因が互いに関与し合って発症すると考えられており、100歳以上の長寿者は病気を起こすリスク遺伝子がないか、もしくは少ないのだろうと推測されていました。

 研究の結果は、病気のリスク遺伝子に関しては両者のあいだにほとんど差がないというものでした。つまりどの世代においても、リスク遺伝子の数の多さが生活習慣病の発症を決定付けているわけではないのです。

 またアメリカでは1990年から03年にかけ、ヒト遺伝子の解析を目的とした国家プロジェクト「ヒューマンゲノム・プロジェクト」がありました。その結果に多くの研究者が驚きました。私たちヒトが生きていくための複雑な機能を保つために10万個以上必要だと思われていた遺伝子の数が、実際はたったの2万~2万5千個しかありませんでした。

 私たちはミジンコよりも少ない遺伝子数であり、数の多さで優劣が決まるわけでもないのです。

環境を変えれば遺伝子も変化させて生命をコントロール出来る

 最近特に注目されているのが、先天的には同じ遺伝情報を持っていたとしても、後天的な環境因子でゲノムが修飾され、個体レベルの形質が異なってくるという「エピジェネティクス(後天的遺伝子制御変化)」の研究です。これは簡単に言えば、環境を変えれば遺伝子も変化させられるということです。

 その例として、ヒトが持つ生活習慣病のリスク遺伝子は脈々と祖先から受け継がれているはずなのに、百寿者の数が半世紀で約300倍にも増え、逆に糖尿病になる人が約100倍も増えていることからも知ることができます。

 つまり健康長寿の遺伝子をつくるには、自分の身体に合った食事、運動、睡眠、思考などの良い習慣を見つけ、実践していくことです。あなたの人生をコントロールしているのは、あなたの考え方や生活習慣から構築された、自らがつくっている環境なのです。

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