文化・ライフ

ゲストの髙遠智子さんはオーガニック薬膳料理研究家。一度は余命3カ月のがんを宣告されたのに、その壮絶な人生を微塵も感じさせないとてもチャーミングな女性です。

末期ガンと診断された髙遠智子氏に大嫌いなトマトが起こした奇跡とは

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(たかとう・ともこ)1968年福岡県生まれ。28歳の時に卵巣がんで、31歳で肺に転移、余命3カ月を告げられる。最後の旅行として出掛けたパリでトマトを食べたことから食に目覚め、フランス、中国で食の勉強に取り組む。その過程で元気を取り戻し、食の素材の知識を生かしたオーガニック薬膳料理研究家として精力的に活動している。『食べものだけで余命3か月のガンが消えた』(幻冬舎)は30万部のベストセラーに。

佐藤 髙遠さんが書かれた『食べものだけで余命3カ月のガンが消えた』を読ませていただきました。28歳で末期がんと診断され、その後の闘病を経て、最後の思い出にと出掛けたフランスで現地のセミドライトマトを食べたことをきっかけに、食べることは生きることだと気づいたそうですね。以来オーガニックな食生活を心掛けた結果、余命3カ月と言われたのに、10年以上たった今でもお元気でいらっしゃる。しかも食の素晴らしさを伝える薬膳料理研究家としてお忙しく活動されています。

髙遠 フランスでトマトを食べた時の衝撃はいまでも鮮明に覚えています。実は私は幼い頃からトマトが大嫌い。普段は絶対に食べませんでした。でもパリのマルシェで口に入れたところ、とてもおいしかったんです。しかも唾液も涙も、体中の水分がどんどん沸いてくる。人間の機能の素晴らしさに、この時、初めて気づきました。

 同時に、これは食に真剣に向き合えということだと考えて、それからフランス、そして中国で食の勉強を始めました。すると不思議なことに、薄皮を剥くように症状が改善されていき今に至っています。

佐藤 もしトマトと出合わなかった、出合っても、嫌いだから食べなかったら、と考えると、生命力の不思議さを感じます。

髙遠 私にとってトマトがそうだったように、誰にでもマッチングする食材があると思います。私の料理教室にいらした方で、末期の白血病患者がいらっしゃいました。その方は、セロリやセージなど香りの強い食材が嫌いで、おまけに人間まで嫌い。病気もあってすべてが嫌いになり、とてもやせ細っていました。

 私はその方に、前菜からメインディッシュまで、すべての料理にセロリを入れました。セロリというのは気の巡りを陽性にして、みずみずしさを取り戻します。そう説明して料理をお出ししたところ、その方はセロリが嫌いにもかかわらず、すべて召し上がりました。そして半年後には体重が増え始めたのです。

オーガニック薬膳料理研究家 髙遠智子氏のオススメする体温を下げない方法とは

佐藤 人によって、必要な食材が違うわけですね。それをどうやって見抜くのですか。

髙遠 料理教室に通ってくる方には事前にアンケートを取って、体調をお聞きします。それでだいたいの料理を決めて、当日、直接お顔を見て、アレンジを加えます。お店で2人のお客さまに同じ料理をお出ししても、それぞれの体調に合わせて微妙に味を変えています。

佐藤 本誌の読者は、皆さんお忙しい方です。食事も不規則だったり、会食続きの方も多くいらっしゃいます。そういう人にアドバイスをお願いします。

20161115TAKATO_P02髙遠 私のところにも、数多くの経営者がいらっしゃいますが、その多くの方がショートスリーパーです。こういう人たちは、体温が低くなりがちです。そこで、どんなに忙しくても、朝晩10分ずつ41度のお風呂に首までつかる。そして毎朝、60度の白湯を2杯飲む。これで腸が目覚めます。これを実践されて体調がよくなった方は多いですよ。

佐藤 私は先日断食に行き、3日間、何も食べない経験をしてきました。行く前は、お腹が空き過ぎて眠れないのかと思っていましたが、それほど辛くもなく、夜もきちんと眠れました。何よりよかったのは、ただ静かにそこにいるだけ。普段忙しいだけにその時間が心と体の休息になり、リセットされて本来の自分に帰れたような気がします。

髙遠 素晴らしいですね。自分をリセットすることはとても大切です。できることなら、一日が終わるごとに、本来の自分を再確認して、リセットできればいいのでしょうが、それが無理なら、有美さんのようなやり方でいいのではないでしょうか。

髙遠智子氏の料理の原点は舌が覚えている母親の記憶

佐藤 髙遠さんの本には、3歳の時にお母さまが亡くなられて、継母はあまり料理もされなかったと書いてあります。そうなると、髙遠さんの味の原点はどこにあるのでしょうか。

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(たかとう・ともこ)1968年福岡県生まれ。28歳の時に卵巣がんで、31歳で肺に転移、余命3カ月を告げられる。最後の旅行として出掛けたパリでトマトを食べたことから食に目覚め、フランス、中国で食の勉強に取り組む。その過程で元気を取り戻し、食の素材の知識を生かしたオーガニック薬膳料理研究家として精力的に活動している。『食べものだけで余命3か月のガンが消えた』(幻冬舎)は30万部のベストセラーに。

髙遠 母は福岡のすっぽん料理のお店のおかみさんでした。人間の味覚は3歳までに形成されるといいますから、私の味覚のベースはすっぽんにあるような気がします。あまり母の記憶はありませんが、舌が母を覚えています。

佐藤 共働き世帯が増えたこともあって、家庭の食生活が乱れています。家の味というのは文化の継承ですから、これから先が少し心配です。

髙遠 晩ご飯はスーパーで買ってきた総菜というのもよく聞く話です。確かに皆さんお忙しいし、毎食、手づくりの料理を出すことはむずかしいと思います。ですから、せめて1日2食の味噌汁から始めませんか、とお伝えしています。味噌汁を飲むことで、体は温まるし心はほっとします。母のお腹の中にいるように、優しさに包み込まれます。これが子どもたちの精神を安定させてくれるのです。

佐藤 私も偉そうなことは言えません。仕事が忙しくて、子どもはいつも納豆ご飯。そうすると子どもが「ママのつくった納豆ご飯は世界一だ」と言ってくれて、それがまた申し訳ないやらありがたいやら。

髙遠 優しい息子さんですね。忙しいときはそれでもかまわないと思います。ただそのときに、ほんのひと手間かけてあげる。それだけで、母親のつくった料理が記憶にも舌にも残ります。それと納豆は発酵食品です。発酵食品は体の再生力を高めます。忙しいときにはぴったりです。

佐藤 日本には味噌やぬか漬けなど身近なところに発酵食品があります。私の祖母がぬか漬けの名人でした。おいしいだけでなく、体にもいい食材を自然に摂っていたんですね

髙遠 発酵食品はアンチエイジングにもいいですよ。最近の研究では、乳酸菌と組み合わせるとさらにいいことがわかってきました。しかも朝よりも夜に食べたほうが効果があります。ですから毎日お酒を飲むという人は、おつまみにチーズとキムチを食べるといった工夫をしていただきたいですね。

髙遠智子氏の最後の晩餐は?

佐藤 糖質オフも話題になっています。実践されていますか。

髙遠 夜はあまり食べないようにしていますが、でも日本人はご飯に始まりご飯に終わります。私も最後の晩餐に何を選ぶかと聞かれれば、白いご飯と答えるほどのご飯好きです。

佐藤 私は納豆ご飯(笑)。

髙遠 そんなにおいしいご飯を食べないことなど、日本人にはむずかしい。それにご飯にはリラクゼーション機能や美肌効果もあります。ですから夜でも、50グラム、お茶碗半分くらいならかまわないと思います。

佐藤 これからどんな料理をつくっていきたいですか。

髙遠 旬の食材を使った、食べる人に寄り添う料理をつくっていきたいです。私が今こうしてお料理をつくらせていただいているのは、皆さまに食を通じて健康をお届けする天命が与えられたからだと思います。その使命を全うするのが私の役割です。

 贅沢な食ではなく丁寧な食。ひだまりのように、皆さまになごんでいただけるような食文化を伝えていきたいです。

佐藤 プライベートは?

髙遠 今は皆さまに料理をつくらせていただけることがうれしくて、毎日がとても幸せです。


対談を終えて

20161206TAKATO_P02対談終了後、高遠さんの料理をいただきました。素材を生かした、とても繊細な味付けで、食べていると心も温かくなってきます。「食べる人に寄り添う料理」を堪能することができました。

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