文化・ライフ

今回のゲストのイゲット千恵子さんがハワイに移住したのは14年前のことだそうです。幼い子どもを連れての「癒しの旅」が、その後の人生を大きく変えることになりました。なぜハワイに渡ったのか。そしてどんな経緯で起業したのか。じっくりとお聞きしました。

イゲット千恵子氏の半生 病気が癒えて始めたハワイでの婚活

佐藤 イゲットさんはハワイを拠点にエステサロンの経営やオーガニック化粧品の通販を行っていますが、なぜ、ハワイに渡ったのですか。

20170221EGETT_P01

(いげっと・ちえこ)大学卒業後、外資系企業勤務を経てネイルサロンを開業。14年前にハワイに移住。5年前にハワイで起業、アラモアナでエステサロンを経営。このほか、オーガニック化粧品のみを扱うオンライン通販、自社ブランンド化粧品の製造販売・卸売りなど手広く展開している。

イゲット ハワイで暮らすようになってから14年がたちます。大学時代、ハワイに留学し、長男もハワイで出産していますが、その後離婚、ストレスもあり膠原病を患ってしまいました。医者に行っても治療法はないと言う。それなら温暖なハワイで、療養がてら人生を立て直そうと、3カ月の予定で訪れました。いわゆる癒しの旅です。

 私は膠原病からくる関節痛に苦しんでいましたが、ハワイは暖かいうえにストレスからも解放され、とても体調がよくなりました。そこで始めたのが婚活です(笑)。別れた夫は日本人でしたが、私がはっきりものを言う性格で、再婚するにしても日本にはマーケットがない、次は外国人がいい、と思っていました。そこで、現地の友人に紹介を頼んだところ、出会ったのが今の主人です。

佐藤 ご主人は何をされている方ですか?

イゲット ワイキキにある200社を束ねるビジネスアソシエーションの代表を務めています。行政と企業の橋渡し役で、ワイキキの開発やイベント、法整備などに関わっています。言ってみればワイキキ村の村長です。

 私は専業主婦として子育てをし、主人を支えていましたが、夫婦でイベントに出席することも多く、いろんなところについていきました。とても勉強になりましたが、そのうちに自分でも何かやりたくなってきました。

佐藤 それで起業したのですか。専業主婦にとっては大きな冒険ですね。

イゲット 実は日本にいる時にはネイルサロンを経営していました。大学卒業後、外資系企業で役員秘書をしていたのですが、手に職をつけようと、カリフォルニアでネイルアートの技術を学び、25歳でマンションの一室でサロンを開業したのです。今から20年前のことです。

日本でオンコロジーを伝道するイゲット千恵子氏

佐藤 もともとビジネスセンスがあったんですね。

イゲット 昔から社長になりたいなと思っていました。

 ハワイで起業したのは5年前ですが、その時思ったのは、どうせなら人の役に立ちたいということでした。私自身、成人性アトピーに長年、苦しんだことがあります。ハワイでのライフスタイルの変化で、ステロイドを使用せずに、オーガニックコスメで肌がきれいになっていきました。そうなると気分もまるで違ってくる。その経験から、美しくなることで人は元気になれる。そういったライフスタイルを提供できないかと考え、敏感肌専門のエステサロンを開きました。

佐藤 経営されているサロンはどんな特徴があるんですか。

20170221EGETT_P02イゲット お客さまのアレルギーの原因を探り出し、食事や生活習慣などのライフスタイルを提案し、トラブル肌が改善できると話題になり、世界からお客さまが健康的な美を求めていらしていただいています。同時にオンコロジーエステにも取り組んでいます。

佐藤 オンコロジーですか。あまり聞きなれない言葉ですね。

イゲット 化学療法や放射線治療の副作用による肌の不調に苦しむがん患者はたくさんいらっしゃいます。オンコロジーエステは、アメリカの腫瘍学に基づいた緩和療法のひとつで、患者さんたちのリンパの流れをよくし、スキンケアで肌の不快感を緩和します。タッチセラピー効果の高い、このエステを受けると、みなさん顔が明るくなり、すごく元気になります。今は日本でも普及させようと、帰国すると全国で講演活動を行っています。

イゲット千恵子氏が日本よりハワイでの起業を勧める理由

佐藤 イゲットさんは5年前にハワイで起業し、エステサロンやオーガニックオンラインショッピングなど、いくつもの事業を展開されています。かつては日本でもネイルサロンを開いていたそうですが、日本とハワイのビジネス環境は随分違うのではないですか。

20170307EGETT_P01

イゲット ハワイというかアメリカのいいところは、社会にいいものなら応援してもらえる、ということです。しかも女性やマイノリティーが優遇されているため、日本よりも女性が起業しやすいと思います。

 20年前の日本でネイルサロンを開業した時は、私ではマンションの一室が借りられず、父親の名前を借りて契約しました。でもアメリカでは、事業内容さえ良ければ女性だからといって断られることなんかありません。

 ただし、アメリカではいろんな問題が起きます。人種もさまざまですから、自分にとっての常識が相手にとっては常識ではないということもよく起こります。そんな問題をゲームをクリアするように解決していく。これが楽しい。型にとらわれることなく、自分のやり方で仕事ができる。これがアメリカのビジネスの魅力です。

佐藤 外から見ると、日本の物足りないところがよく分かるのではないですか。

イゲット 決断に時間がかかりすぎますね。これは主人もよく言っていることですが、日本企業とビジネスをしてもなかなか決まらないため、結局、よその企業と契約してしまう。スピード感がまるで違います。

 もうひとつ残念なのは、日本や日本人にはいいところがたくさんあるのに、アピールが下手なために相手にそれが伝わらないことです。本当にもったいないと思います。

イゲット千恵子氏が語るハワイでの子育てのメリットとは?

佐藤 イゲットさんのような生き方に憧れる女性は多いのではないですか。日本でも起業し、ハワイに渡って素敵な人と結婚。さらには現地でも起業し、幅広くビジネスを展開しながら活躍するなんて格好いい!

イゲット 私自身も若い人たちのお手本になれればいいと思っていますし、アメリカで女性リーダーの育成プログラムを受講するなど、いろんなことを勉強しています。

佐藤 ハワイで国際結婚する日本人も多いそうですが、けっこう離婚率が高いとか(笑)。

イゲット 確かに。夫婦というのはパートナーです。一緒に暮らしていてもお互いの成長スピードが変わってしまうと、相手の変化についていけなくなってしまう。それが理由で離婚する人も多いようです。でも離婚という言葉を使いたくないので、私はメンバーチェンジと呼んでいます(笑)。

佐藤 息子さんはおいくつになりました?

イゲット 16歳です。

佐藤 ハワイでの子育ては大変ではなかったですか。

イゲット ハワイでの子育てをいろんな人に勧めています。ハワイにはいろんな人種が暮らしていますが、全米唯一、人種が仲良く混じり合って暮らしている州です。小さい頃から、この環境で暮らすことが、子どもにとっても大きな財産になります。もちろん英語も身につきます。授業料は高いですが、ここで暮らすことで国際的な人脈を、子どもだけでなく親もつくることができます。素晴らしい環境です。

〜対談を終えて〜

20170307EGETT_P02対談を読んでいただければ分かるように、イゲットさんはとてもハキハキした方で、お話しを聞いているだけで気持ちいい。こういう魅力的な女性が国際的に活躍することをうれしく思います。

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

認知症・徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

人材育成のコツ ~部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ~

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

未来のモビリティ社会実現に向け日本と欧州の懸け橋に―シェフラージャパン

自動車産業・産業機械の世界的サプライヤー、シェフラーグループの日本法人で2006年イナベアリングとエフ・エー・ジー・ジャパンが合併して設立。国内4拠点で自動車エンジン、トランスミッション、シャーシなど精密部品、産業機械事業を展開する。文=榎本正義四元伸三・シェフラージャパン代表取締役・マネージング…

シェフラージャパン代表取締役 マネージング・ディレクター 四元伸三氏

日本一歴史の長い女性用化粧品会社が挑む「革新と独創」―伊勢半

【特集】2019年注目企業30

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

チェ・ゲバラに憧れた10代起業家が目指す「働き方革命」― 谷口怜央・Wakrak(ワクラク)社長

高校中退、ITスキルなしの17歳の青年が立ち上げた会社が、わずか2年で利用企業約500社、ユーザー約6万人のアプリを運営するまでに成長している。「世の中を変えたい」という思いを原動力に突っ走る谷口怜央・Wakrak(ワクラク)社長に話を聞いた。(取材・文=吉田浩)谷口怜央氏プロフィール…

Wakrak(ワクラク)社長 谷口怜央氏

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年6月号
[特集] 進化するリーダーシップ
  • ・あなたは北風、それとも太陽?
  • ・小路明善(アサヒグループホールディングス社長兼CEO)
  • ・鈴木貴子(エステー社長)
  • ・千葉光太郎(ジャパン マリンユナイテッド社長)
  • ・二木謙一(國學院大學名誉教授)
[Special Interview]

 中村邦晴(住友商事会長)

 「正々堂々と向き合えば、仕事は人を幸せにする」

[NEWS REPORT]

◆パイオニアに続きJDIも 中国に買われる日本企業の悲哀

◆会社はだれのものなのか サイボウズと株主がつくる“共犯関係”

◆24時間営業はどこへ行く コンビニ業界未来予想図

◆トヨタとホンダが手を組み参戦 「MaaS戦争」いよいよ勃発

[特集2]ブランド戦略 新時代

 技術やデザインだけではない ブランドとは商品の哲学だ

ページ上部へ戻る