政治・経済

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 安倍晋三首相は7月6日午前(日本時間同日夜)、欧州連合(EU)のトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長とブリュッセルで定期首脳協議を行い、経済連携協定(EPA)交渉で大枠合意したと宣言した。発効すれば世界の国内総生産(GDP)の約3割、貿易額の約4割を占める巨大な自由貿易圏が誕生する。

 EUから日本への輸出は7割が無税なのに対し、日本からEUへの輸出は7割が有税だ。自由貿易の優等生を目指す日本が工業製品の関税を率先して撤廃してきたのに比べ、EUは関税や規制などさまざまな手段で巧みに域内市場を守ってきた。不平等の解消が日欧EPAの大きな課題だった。

 ただ、6月からの最終盤の交渉では、主戦場は農林水産分野に譲り、経済産業省は大枠合意の締結を優先させた。世耕弘成経産相は当初、自動車の関税撤廃について、韓国とEUとの自由貿易協定(FTA)と同水準の5年での撤廃を求める意向だった。

 結局、EU側が日本車にかける10%の関税を発効から7年で撤廃することとなった。自動車部品の関税は貿易額ベースで92.1%について即時撤廃するなど、日本のお家芸で相当の果実は手に入れたが妥協の痕跡が残る結果となった。

 背景には、米トランプ政権で不透明感が広がる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)と中国・インドが参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の存在がある。

 TPPは米国抜きの11カ国での早期合意を目指し、米国の回帰を促す。RCEPは、物品の関税などを中心に早期妥結を優先する中国に対し、日欧EPAとTPPを基準に、透明性が高い貿易ルールを含むハイレベルの貿易協定を望む。この大きな戦略の中で実を取った形だ。

 8月の内閣改造では経産省出身の斎藤健氏が当選3回での異例の農林水産相就任を果たし、政府内の経産省色がいっそう濃くなった。自民党内の派閥の関係や農業改革に携わった手腕を買われた異例の抜擢だが、経産官僚としての実務能力と日米自動車摩擦の交渉にあたった経験も高く評価されている。

 TPP漂流で頓挫しかけた多国間の巨大自由貿易協定(メガFTA)が、いよいよ経産省主導で動き出す。

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