文化・ライフ

一文字書いて心を整える

 前回、成功者に共通する筆跡のポイントを紹介したところ、大きな反響をいただいた。

 そこで今回は、誰でも即実行できる「文字を書くことによって心を整える」手法を紹介したい。

 筆跡診断士の林香都恵氏が実践している「一文字セラピー」は、一文字を心を込めて書くことによって自らの心の現状を知り、より良い状態に持って行くためのものだ。

 心をリセットするという点では写経と似ているが、ビジネスパーソンが職場で写経をすることは難しい。そこで、誰にでも比較的書きやすい文字を1つ書くのが一文字セラピーだ。

 林氏はこう説明する。

 「人それぞれ、書いてOKな言葉とそうでない言葉というものがあると思います。たとえば『死』といった文字を書くときは無意識に緊張が走るので、多くの人が大きく力強くは書けません。また、一般的には良い文字でも人によってはすんなり書けないものもあります」

 たとえば、平常心を保つために林氏が勧めるのが「息」という文字だ。

 「息という字は息をする、休む、生きるといった意味があるので、ゆっくり呼吸して書いてください。ポイントは、『自』という部分の横線を等間隔に書くことを意識すると、気持ちが自然と穏やかになります。また、縦線がこれぐらいの長さなら横線はこれぐらいだなとパッと閃く人は論理的で器用、比較的気持ちも平穏に保ちやすい傾向にあります。逆に、横線の感覚が狭かったり広かったりするのは感情の起伏が激しい芸術家タイプに多いです」 

 「次のポイントは『心』の部分ですが、深い心ですべてのことを受け止めるつもりで、大きく美しい陶器の底をイメージしてください。はねは丁寧に思い切り。アーモンドの形をイメージすると深い器が書けます」

 心のバランスを整えたいときは、これらを意識して「息」の文字を書いてみてはどうだろうか。

 「貴」はプレーヤー向きの文字、ではリーダー向きは?

 次に、記者自ら実験台となって文字を書いてみた。書いたのは「貴」という文字と「誠」という文字である。

 林氏によれば、プレーヤータイプの人は「貴」、マネージャータイプの人は「誠」がそれぞれ上手く書けるのだという。記者は自らをプレーヤータイプと認識してるため、まず「貴」から書くことにした。

 「貴」は「自分は尊い」とか「自分に才能がある」ということを考えながら書くと良いらしい。自己主張が激しいタイプであれば上に突き出る縦線が長く、頭部をひねることで自分のこだわりが強く出るという。また、左側の横線を張り出すと勢いや華やかさが出てくる。「貝」の部分の「ハ」は台座なので、自分の存在感と重みを出す安定するようにするとしっかりした感じになる。ちなみに、写真右が何気なく書いた文字、左側がこれらのことを意識して書いた文字である。

2017一文字セラピー1 shot

 次に「誠」という文字は、チームで何かに取り組んでいてうまくいかないときに書くと良いらしい。「誠」は共感力を高め、チームで物事の流れを停滞させる人の心理を理解することで、相手からの信頼を得られるようになるという性質を持つ。

2017一文字セラピー2

 記者が最初に書いた右の文字はへんとつくりが同じバランスで書いてあるが、つくりが主役でへんは引き立てる役割なので、「成」を大きく書くよう指摘された。このほか、へんとつくりの間は包容力を表すのでできるだけ空間を取ること、「成」の最後のはねは「粘り強く待つ」と考えながら強く引っ張るのもポイントだ。

 ちなみに、多くの文字に入っている「口」というパーツは、左上の部分からエネルギーが入るので縦線と横線の間に空間を作るのがポイント。右下は出口となるので閉じるのが大事だという。右下を空けると、エネルギーやお金が逃げていくとも言われるので要注意だ。

 一文字セラピーを受けた結果、文字を書く技術面もさることながら、メンタル面のスッキリ感、不思議な爽快感があり、これは確かに有効であるという感想を持った。文字と心の状態のさらなる関係性については、匠佳堂のホームページに詳しい。

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