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ペルー日系人のアイデンティティを育んだのは「野球」だった

ペルーで野球教室を開催

「しっかり野球を伝道したい」と意気込みを述べるのは、読売巨人軍前監督の原辰徳氏。ペルーでの野球教室を開催するにあたり、10月19日、都内のペルー大使館で会見を行った。

ペルー日系人協会設立100周年を記念して催される教室は、国際協力機構(JICA)が主催し、11月19日(現地時間)、ペルーの首都のリマにあるラ・ウニオン総合運動場で行なわれる予定だ。講師として派遣されるのは、原氏を総監督に、元横浜の久保文雄氏、同じく駒田徳広氏、元巨人の宮本和知氏、元広島の西山秀二氏の5名。

原氏らは元々、報知新聞と通販大手のファンケルがはじめた「ファンケルキッズベースボール」に2010年から携わっており、これまで計31回全国各地で野球教室を行ってきた。

野球教室以外にも、会場周辺の病院へプロ野球OBが訪問し、サインボールのプレゼントや記念撮影を行う慰問を計11カ所で行ったほか、被災地支援などの特別大会を9回行っており、これまでの参加者はのべ1万1407名にものぼる。

さらに、ファンケルキッズベースボールでは、使わなくなった野球用具の回収も行っており、用具の一部はJICAを通じて用具不足に悩む国や地域の子どもたちへ送られていた。

左からファンケルの宮島副会長、久保氏、原氏、宮本氏、西山氏、鈴木規子・JICA理事

左からファンケルの宮島副会長、久保氏、原氏、宮本氏、西山氏、鈴木規子・JICA理事

ペルー日系人と野球とのかかわり

今回、はじめて海外での野球教室を開催することになるが、先にも述べたとおり、イベントはペルーの日系人協会設立100周年を記念して行われる。

日本人のペルー移民の歴史は協会設立よりも古く、1899(明治32)年に、横浜港を出港した佐倉丸に乗った790人が、カヤオ港に第一歩を記したことにまで遡ることができる。

ペルーは日本にとって、組織的な移住を南米で最初に受け入れた国で、彼の地では野球よりもサッカーの方が人気スポーツだ。

しかし、ペルーに入植した彼らのアイデンティティは野球によって育まれたていたという。「ベースボール」を学ぶのでなく「野球」を学ぶことで、礼儀作法など、祖国の文化も一緒に受け継ぐこともできたというわけだ。

講師のひとりである元巨人軍投手の宮本氏も「誰かが困っていたら他の誰かが助ける」といったチームワークを教えたいと、技術よりも野球やスポーツの持っている魅力、そして日本人のメンタリティを伝えていこうとしている。

伝道者となる講師5人に加え、帯同するファンケルの宮島和美副会長も初のペルー訪問になるということで、訪問を心待ちにしているという。

「最近は年齢もあってプレーがしんどい(笑)」という原氏だが、ペルーでは講師陣全員がデモンストレーションを行う予定。ペルーの日系人たちにとっても、プロ野球の凄さを感じる機会になるのではないだろうか。

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