文化・ライフ

「仕事ではファッションが大事」と言えば、大事なのは中身だと反論されるかもしれない。だが、「仕事では印象(インプレッション)が大事」と言い換えれば、おそらく異論は少ないだろう。「ファッションとは、その人の内面、在り方を表すもの」と考えれば、そのプライオリティは高まるはずだ。ファッションスタイリストジャパン(FSJ)でスタイリストを務める吉川浩太郎氏が、ファッションとの向き合い方、具体的なテクニックなどを、ビジネスパーソンに向けて伝授する。

素材の工夫で季節感を出す

 ネクタイを例に挙げて、服装に季節感を出すとお洒落に見えるというお話を以前しましたが、今回はもう少しその話をします。

 たとえば、スーツの素材には細くて毛羽の少ない梳毛と、表面がフワフワして毛羽だっている紡毛というものがあります。オーダーメードでスーツを作る際、梳毛を選ぶとあまり季節感を問わないスーツに仕上がり易くなりますが、秋冬にはあえて紡毛を選ぶと、実際の機能的に暖かくなるだけでなく、見た目にも暖かそうな印象を与えることができます。

仮に、明るいグレーや青っぽい紺など寒そうな色を選んだとしても、紡毛だと冷たさを感じさせないという特徴があります。梳毛と紡毛の違いは、誰にでも分かり易いものなので、実際に触って比べてみると良いでしょう。

 ただ、紡毛のスーツを持っている方は意外と少ないのが実情です。経済的な理由などから「1着のスーツを1年中着たい」という方が多いからではないかと思いますが、基本的にスーツは「春夏」「秋冬」に分かれています。ですから、絶対にダメというわけではないのですが、個人的には1着のスーツを1年中着るというのはあり得ないと考えています。

 特に「紺の無地スーツしか着ない」という人でも、素材に変化を加えるだけで随分と雰囲気が変わってくるものです。

マインド面にも変化が

 紡毛のスーツは着ている人が少ないからこそ、周囲と差をつけやすくなる、ということも言えます。

 夏場のクールビズの季節が終われば、少なくとも翌年の3月くらいまでは寒い季節が続くので、半年近くもの間、同じようなスーツを着るのはもったいないとも言えます。素材を変えることによって「あの人はいつも同じスーツを着ている」と思われなくて済むようにもなります。

 また、季節感を意識して服を選ぶと、ご自身のマインド面でも「季節が変わったな」というスイッチが入るので、変化を楽しめるようになります。そこから、ファッションに対する意識に広がりが出るということもあるでしょう。

 たとえ、1年中着られるスーツを持っていたとしても、そのほかに秋冬メインで着るスーツを1着持つだけで、周囲の人たちの印象も変わってきます。価格的には梳毛でも紡毛でも大きく変わらないので、ぜひトライしてみてください。

吉川浩太郎のワンポイントアドバイス

吉川さん写真紡毛のスーツに合わせて、ウール素材の入ったネクタイなどを合わせることで、さらに季節感を出す効果が大きくなるでしょう。まずはネクタイだけでも印象が変わってくるので、ぜひ試してみてください。

(よしかわ・こうたろう)1981年5月19日生まれ。東京都日野市出身。紳士服専門上場企業で人事採用や接客業務を経た後、イメージコンサルタントとしてのキャリアを基に依頼者独自の良さを引き出すコーディネート事業を展開。プライベートカジュアルからスーツスタイルまで幅広い知識・提案に定評がある。化粧品会社、大手建機会社、生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会(公益社団法人JAIFA)等で30~100名規模のファッション研修に携わっている。

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