経済界大賞

 2017年12月15日に上場を果たしたイオレは、日本最大級の連絡網サービス「らくらく連絡網」を運営する。その創業者である吉田直人氏の半生は、波乱万丈だ。

再チャレンジ賞
吉田直人 イオレ社長

 立教大学を卒業し半年ほど広告代理店に勤めたあと、フリーの編集者として数々の雑誌に携わるうちに、起業しフリーの仲間を組織化する。当時はマルチメディアの黎明期。CD-ROM写真集を次々と発行し、成功を収める。写真集と並行してゲームやアニメ制作にも進出、一時は「マルチメディアの星」と囃された。

 ところが32歳の時に咽頭がんを患い、吉田氏は死を覚悟する。「どうせ死ぬならファイナルファンタジーのような超大作をつくって死のうと考え、銀行から融資を受け、資金をつぎ込みました。社員は『社長は気が狂った』と思ったようです」

 幸い、がんは根治したが、今度は銀行の「貸し剥がし」が始まった。「まず最初に定期預金がフリーズされ、次に普通預金が引き出せなくなり、やむなく1997年7月に会社は倒産。私自身も自己破産しました」

 それでも吉田氏はへこたれない。「破産してからのほうが友達が増えた」と言うほど支援者にも恵まれ、友人とサイバービズ(現ザッパラス)を創業。iモード向けコンテンツを制作する。

 「事業を進めるうちに、世の中への貢献意欲が高まり、特にスポーツの応援に興味を持ちました」

 そこでインターネットによる、スポーツ応援を目的にイオレを2001年に立ち上げ、携帯向けサッカー新聞などのコンテンツ制作を始めたところ、「読者から、サッカーチームのメンバーの連絡網が欲しいという声があった。それがらくらく連絡網の原点です」という。

 らくらく連絡網は今では670万人の利用者を誇るまでになった。しかも利用者の属性がはっきりしているため、この顧客データはマーケティングにも利用されている。

 「倒産直後は銀行などを逆恨みしたこともありましたが、それでは前には進めません。他責ではなく自責が浮上の第一歩です。私自身多くの人の助けがあってここまでこれましたから、これからは助ける側にまわりたいと考えています」

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